批評家が選ぶ、ウィル・スミス出演作ランキング!“フレッシュ”なおすすめ10選
もっとも高い評価を獲得したのは、ウィル・スミスの代表シリーズである「MIB」の第1作『メン・イン・ブラック』の92%フレッシュ。地球にやってきたエイリアンたちを監視し、地球人にその存在を隠すという任務を遂行していく秘密警察MIBにスカウトされたニューヨーク市警の刑事が、トミー・リー・ジョーンズ演じるエージェントのKとコンビを組みながら大事件に挑んでいくSFコメディだ。
日本では同時期に公開された『タイタニック』(97)の影に潜んでしまったとはいえ、年間配給収入ランキングで洋画第3位に入る大ヒット。その1年前に大ヒットとなった『インデペンデンス・デイ』に続いて、ウィル・スミスの名が一気に知れ渡るきっかけとなった。その後2002年には『メン・イン・ブラック2』、2012年に『メン・イン・ブラック3』とシリーズ化され、いずれも世界的な大ヒット。近年ではキャストを一新した続編も製作されるほどの人気ぶりであり、ウィル・スミス映画の入門編としてはもってこいの作品といえよう。
上位には、俳優としての地位を確立したキャリア初期の作品から、「MIB」に並ぶ代表シリーズ「バッドボーイズ」が17年ぶりに復活した『バッドボーイズ フォーライフ』、初のアカデミー賞候補に挙がった『ALI アリ』など多種多様な作品が並ぶ。なかでも注目は、88%フレッシュの高評価を獲得しているキャリア初期の佳作『私に近い6人の他人』。日本ではあまり鑑賞機会のない作品ではあるが、同作でスミスは実在の詐欺師をモデルにした青年を演じている。
ニューヨークの社交界の有力者である夫妻のもとに、突然黒人青年のポールが怪我をした状態でやってくる。洗練された身なりと話術、ハーバード大に通う夫妻の娘の同級生で、シドニー・ポワティエの息子だと名乗る青年に魅了される夫妻だったが、ある行動がきっかけで彼を追いだす。そしてポールの正体を探っていくうちに、彼が語っていたことが嘘だとわかるのである。1980年代から1990年代に掛けて、小品ながら良作を次々と生みだしたフレッド・スケピシ監督の安定した演出力のよって引きだされたスミスの素質の高さは、その後の充実したキャリアの重要な土台となっていると見える。
一時はゴールデン・ラズベリー賞を受賞してしまったこともありながら、持ち前のスターパワーで見事な立て直しに成功したスミスは、90%フレッシュを獲得した『ドリームプラン』で世界最強と謳われたテニスプレーヤー姉妹を育て上げた父親役を演じ、キャリアハイの賞賛を獲得。第78回ゴールデン・グローブ賞で主演男優賞(ドラマ部門)を獲得し、第94回アカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たす。前評判では受賞に王手をかけているとも言われており、結果にも注目しておきたいところだ。
また今後も「バッドボーイズ」の第4作や、68%フレッシュを獲得した『アイ・アム・レジェンド』の続編などのアクション作品から、犯罪組織を率いた実在の人物ニッキー・バーンズを演じる『The Council』などスミスの演技力とスター性を両方堪能できそうな新作が多数控えている模様。その輝かしいキャリアに“オスカー俳優”の称号が加わればさらに輝きは増すことだろう。
文/久保田 和馬