『ザ・ロストシティ』が北米ランキングV!「バーフバリ」監督最新作も大健闘
公開から4週目を迎えた『THE BATMAN―ザ・バットマン―』(日本公開中)がとうとう首位から陥落。入れ替わるようにして先週末(3月25日から27日)の北米興収ランキングで初登場首位を飾ったのは、サンドラ・ブロックとチャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ブラッド・ピットが共演するアドベンチャー映画『ザ・ロストシティ』(6月24日日本公開)だ。
ブロック演じる恋愛小説家ロレッタの新作を読み、ラドクリフ演じる億万長者フェアファックスは彼女が伝説の古代都市の場所を知っていると確信。ロレッタを南の孤島へと連れ去ってしまう。救出のために駆けつけたのは、テイタム演じるカバーモデルのアラン。好対照な性格のロレッタとアランは、2人で協力しあって南の島からの脱出を試みるが、次々と予想外のハプニングに見舞われることに。
4253館で封切られ、初日から3日間の興行収入は3045万ドルとまずまずの成績。それでもメインキャスト4人にとっては久しぶりの“初登場1位”作品になったようで、近年Netflix作品への主演が続いていたブロックは4年ぶり、初監督作『Dog』は2位スタートだったテイタムは4年半ぶり。ラドクリフにいたっては『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)以来11年ぶりで、ピットも意外なことに『フューリー』(14)以来の首位なのだとか。入れ替わりの激しいハリウッドで、お馴染みのスター俳優が顔をそろえた作品がヒットするのはうれしい限り。
3位には「バーフバリ」シリーズのS.S.ラージャマウリ監督の『RRR』が初登場。ここ最近北米の興収ランキングでインド映画が健闘することがしばしばあるが、初日から3日間で950万ドルの興収は『バーフバリ 王の凱旋』(17)の1043万ドルに次ぐ、テルグ語映画としては2番目の好成績。「Deadline」の報道によれば、インドでは『バーフバリ 王の凱旋』の記録したオープニング成績を超える大ヒットになっているようで、全世界興収も6320万ドル近くにのぼっているようだ。大反響を呼んだ「バーフバリ」に続いて、日本でテルグ語映画熱が再燃する可能性も十分だ。
また13位には、サウスバイサウスウエスト映画祭でオープニングを飾り好評を得た『Everything Everywhere All At Once』が初登場。同作は「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟がプロデューサーとして参加し、『スイス・アーミー・マン』(16)のダニエル・クワン&ダニエル・シャイナートがメガホンをとった、異色のSFアクションコメディ。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家の96%から絶賛評が寄せられるなど、主演のミシェル・ヨーの演技に熱烈な賛辞が集中。ジャンル的なハンデを超えて、早くも来年のアカデミー賞の有力作の一つに名を連ねたとの声も。
同作の配給を務めるA24は、先日行われたばかりの第94回アカデミー賞ではApple TV+と組んだ『マクベス』のみの参戦で無冠に終わったが、来年に向けては有力作が多数待機。アリ・アスター監督の『Disappointment Blvd.』やジョアンナ・ホッグ監督の『The Eternal Daughter』、さらにジェニファー・ローレンスが主演する『Red,White and Water』などで、いずれも次の賞レースを大いに賑わせてくれることだろう。
文/久保田 和馬