「エロスとは工夫の連続」吉岡里帆が明かす、ボンテージ姿での“セクシー所作指導”の裏側
累計発行部数1400万部を突破したCLAMPの伝説的コミックを、蜷川実花が艶やかかつ華やかに実写映画化した『ホリック xxxHOLiC』(公開中)。主人公の四月一日(ワタヌキ)を演じる神木隆之介と“ミセ”の女主人である侑子を演じる柴咲コウを筆頭に、SixTONESの松村北斗や玉城ティナなど豪華キャストの共演で大きな話題を集める本作で、ひときわ異彩を放っているのが“清純派”のイメージを吹き飛ばす妖艶な悪女を演じ切った吉岡里帆だ。
人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が視えることで孤独に生きてきた高校生の四月一日が、対価と引き換えにどんな願いも叶えてくれる“ミセ”に迷い込み、不思議な運命に足を踏み入れていく姿が描かれる本作。吉岡が演じるのは“アヤカシ”を操り、四月一日を襲う“女郎蜘蛛”。「物語のカギになるキャラクターでいわゆる“悪女”。非情だけどとにかくセクシーというのがポイントで、色気がたっぷりあって、妖艶で、残酷な表情を見せています」と、吉岡は自身の演じた役柄について説明する。
テレビドラマ「ゆとりですがなにか」や「カルテット」でブレイクを果たして以降、さまざまな映画やドラマ、CMなどで活躍してきた吉岡。先日最終回を迎えたテレビドラマ「しずかちゃんとパパ」ではろう者の父を健気に支えるコーダの娘を演じ、まもなく公開される『ハケンアニメ!』(5月20日公開)では化粧気のない不器用な新人アニメ監督を演じるなど、清純で透明感ある愛されキャラを得意としてきた吉岡だが、本作ではそのイメージを脱却。鋭利な爪と金髪のロングヘアー、目鼻立ちのくっきりしたメイクにボンテージ姿という大胆な変貌を遂げている。
「原作のキャラクター造形に近づけるため、衣装も工夫して調整し、なんとか近い状態まで持っていくことができた感じです」と控えめに語る吉岡だが、その再現度はかなり高め。「蜷川監督がアニメっぽさと現実の女の子のかわいらしさのちょうどいいバランスを探してくださって、そのおかげで女郎蜘蛛のイメージをしっかりと掴むことができました。髪型もシルバーに近い金髪で、絶妙なカールも入っていて素敵なのですが、ここにいたるまでにはかなりの時間を費やしました」とその役作りの難しさを告白。
演じるうえで特に難しかったことを訊ねてみると、吉岡は即座に「セクシーな所作ですね」と答える。「背筋を使いすぎて、毎日痛かったんです。撮影中にはバキバキに炎症を起こしていましたし(笑)。もっと優雅で柔らかくただようものだと思っていたのですが、エロスとは工夫の連続なんだなと勉強になりました」。そして吉岡は「私一人で努力するだけでは絶対に生みだせなかったと思います」と語り、その役作りの裏に「セクシー所作指導」を務めた人物の存在があったことを明かす。
ほかの映画では見たことのない「セクシー所作指導」。本作が公開されるやSNS上でも大きな話題を集めていたが、果たしてどのような指導を受けるのだろうか?「KUMIさんというポールダンスなどをされている先生が、どうすれば作品とキャラクターに合わせたセクシーさを醸しだせるのかを研究してくださったのです。先生と一緒に工夫を凝らしながら役作りをしていったことで、私自身も女郎蜘蛛というキャラクターに恐ることなく没入することができました」と手応えをにじませながら振り返る。
それでも「やりすぎて浮いていないか、滑稽になっていないか。本当にこれが正解なのかどうかわからなかった」と撮影中に不安を感じることもあったという。「でもKUMIさんがいつも『もっと魅せてください!』「最高です!』とエールを送ってくださるから堂々と演技することができました。それに私の衣装以上に激しいボンテージを着て現場に立っていてくださり、セクシーを体現してくださったからこそ『ここまでやって大丈夫なんだ』『女郎蜘蛛も映画のなかで説得力を持って存在できるはずだ』と思えるようになりました」と振り返り、「本当に素敵な現場でした」とにこやかに語った。
構成・文/久保田 和馬