中井貴一、企画&主演映画『大河への道』船出に感無量!「育ててきた娘を届けるような気持ち」

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中井貴一、企画&主演映画『大河への道』船出に感無量!「育ててきた娘を届けるような気持ち」

立川志の輔の新作落語「大河への道―伊能忠敬物語―」を中井貴一主演で映画化した『大河への道』の初日舞台挨拶が5月20日に丸の内ピカデリーで開催され、中井貴一、松山ケンイチ北川景子岸井ゆきの、和田正人、田中美央、中西健二監督が登壇。企画から携わった中井が、映画の船出を迎えた感慨を語った。

『大河への道』初日舞台挨拶が開催された
『大河への道』初日舞台挨拶が開催された

本作は、郷土の偉人「伊能忠敬」の大河ドラマを制作しようと奔走する千葉県の市役所職員が、史上初の日本地図を完成させた人物が伊能忠敬ではないことを知ってしまったことから始まる物語。志の輔の落語を観劇した中井が、感動のあまりに自ら映画化を企画した。初日の会場を見渡した中井は「企画から入らせていただいて、6年の月日がかかって今日の初日に至りました」と感無量の面持ち。「俳優としてだけで出る時以上に、昨日は緊張していました。今日、皆さんの顔を拝見することができてホッとしております」と胸の内を明かしていた。

観客に感謝を伝えた中井貴一
観客に感謝を伝えた中井貴一

映画化するにあたってこだわったことについて聞かれた中井は「時代劇というものが少なくなってきて。テレビなんかではほとんど放送されなくなってしまった。京都の撮影所やスタッフ、俳優の知識だったり、そういった時代劇に関わるものを残していかなければならないなとずっと考えていた」と時代劇への並々ならぬ想いを吐露。


「すべてはお客様にご覧いただけてこその話なので、“こういう形ならばご覧いただける”というものをなにか作れないだろうかと思っていた。そんなころ、ちょうど志の輔さんの落語に出会った。現代と江戸が行ったり来たりする内容のなかで、コメディと悲劇もうまく合せられるのではないかと思った」と経緯を明かした。またキャスト陣は現代と江戸時代に生きる人物を一人二役で演じているが、中井は「人間なんて200年前から大して変わっていないんだよという意味合いが、どこかで皆さんに伝わればいいなと思って二役をやっていただいた」と語っていた。

中井貴一への信頼感を明かした松山ケンイチ
中井貴一への信頼感を明かした松山ケンイチ

「貴一さんとは、10年以上前から仕事を一緒にさせていただている」という松山は、「とにかく包容力のある俳優さん。僕はすごく安心もしていますし、信頼もしているんです。そういう貴一さんの人間性や優しさがこの映画にはあふれている」とにっこり。北川は「コロナ禍でみんなで力を合わせて作りました」と胸を張り、「みんなで協力をして一つの映画を作り上げるということと、この作品の内容がすごくリンクした。人が心を通わせて力を合わせれば、一つの大きなことを成し遂げることができるんだと、私自身、この作品からすごく勇気をもらいました」と心を込めていた。

「勇気をもらった」と話した北川景子
「勇気をもらった」と話した北川景子

夏の京都で撮影を敢行した。中井は「夏の京都で時代劇を撮るというのは、僕たちの業界では無謀だと言われている。暑さが尋常ではない」と苦笑い。とはいえ「昨年の夏は雨が多くて冷夏だった」と快適に過ごせたというが、「その代わりに、雨ばかりで台風が来た。1日、台風のなかで撮影をしたシーンがある。『すごい風が吹いているな』と思ったら、それは台風のなかで撮影したシーンだと思っていただければ(笑)。風でカツラが飛ぶというのは、初めての経験です」と思いがけない出来事もあった。「カメラマンが『こんな絶好(な機会)はないです』とおっしゃったので、続行しました」と悪天候も味方にして、いいシーンが撮れたと笑顔を見せていた。

樽が開いちゃった!ハプニングに笑顔
樽が開いちゃった!ハプニングに笑顔

この日は、映画の公開を祝して鏡開きも実施。掛け声の前に樽が開いてしまうハプニングもありつつ、全員でにぎやかに小槌を振り下ろした。中井は「この映画に携わっている時間がとても長かった。初日というものは、役者にとっては育ててきた映画と別れる時です」としみじみ。「皆さんのもとに、育ててきた娘を届けるような気持ちでここに立っています。こうやってお客様が映画館に足を運んでくださることがなによりの喜びであり、この仕事をやっていてよかったなと思う瞬間です」と語り、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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