神尾楓珠、「最後まで生き抜く力強さを教えてもらった」実在の人物演じた『20歳のソウル』前夜祭に感激
千葉県船橋市立船橋高等学校の応援曲として代々受け継がれている「市船 soul」を作曲した青年の実話を映画化した『20歳のソウル』(5月27日公開)の公開前夜祭が5月26日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、神尾楓珠、福本莉子、佐野晶哉(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、佐藤美咲、佐藤浩市、秋山純監督が登壇した。
20歳という若さで短い人生の幕を閉じた青年が音楽に傾けた熱い情熱、そして吹奏楽部の仲間たちとの強い絆を描く本作。この日は、現役の市船吹奏楽部が演奏する「市船 soul」 に乗って、市船ダンス部「PIRATES」(パイレーツ)が登場してキレキレのダンスを披露した。
華やかに幕を開けた前夜祭。神尾は「いよいよ明日公開ということで、前日とは思えないくらいの豪華なオープニング。ダンス部の皆さんが盛り上げてくださって、ありがたいなと思います」と感激しきり。本作でスクリーンデビューを果たした佐野は「これから先、こんなステキな役、作品に出られるのかなと思ってしまうくらいの運命的な出会いでした。撮影をしていたのは1年以上前、公開をいまか、いまかと待っていました」と喜びをかみ締めていた。
若くして亡くなった実在の青年、浅野大義さんが残した“神応援曲”は、後輩たちに受け継がれ、いまも彼の魂と共に生き続けている。浅野さんの生涯を演じ切った神尾は、「実在した方を演じたことによって、1人の人生を演じることってすごく大変だなと改めて感じました」としみじみ。「大義くんの生き様から、1日、1日を大切に、最後まで生き抜く力強さを教えてもらいました」と語る。すると「ちょうど撮影していたころが20歳だった」という福本も、「自分の人生と重ね合わせて本を読んでいると、涙が止まらなくて。1日、1日を大切に生きようと思いました」と日常の尊さを実感したと続いた。
佐野は「大義くんが作曲した曲をピアノで演奏するシーンがある」と振り返り、「そこは何回も家で練習しても、まったく弾けなくて。でも本番ではワンテイクで弾き切ることができた。大義くんがいてくれて、力を貸してくれたんやなと感じました」とエピソードを披露。市立船橋高校吹奏楽部の部長を務め、秋山監督に見出されて演技未経験ながら本作の主要キャストに抜擢された佐藤(美咲)は、「映画を通して、さらに大義先輩のことをもっと深く知ることができた。悔いのないように生きようと思いました」と貴重な機会になったことを明かしていた。
吹奏楽部の顧問、高橋先生を演じた佐藤(浩市)は、「自分も若いころはそうだったけれど、いまが永遠に続くんじゃないかと、勝手に錯覚してしまう。そう思ってしまうと、いま起きている事象をスルーしてしまう。いまはいましかない。いまの過ごし方を大事にしてほしい」と若いキャストたちに熱いエール。佐野は「大事します!」と大きな笑顔を見せた。
キャスト陣の言葉を聞いていた秋山監督は「皆さんが市船の吹奏楽部に飛び込んで、一緒に青春を過ごしてくれた」と感謝。ダンスを披露した「PIRATES」の存在にも触れ、「優しくて、目立つことが大好きな大義くんは、きっといまこの会場のどこかで喜んでくれているんじゃないかなと思います。力の限り生き切った大義くんという男の、生き様を描いた希望の映画」とアピールしていた。
また会場には、原作者の中井由梨子も駆けつけた。中井が吹奏楽部の顧問である高橋先生に取材したことから始まり、それが本になり、映画にもなった。ステージには吹奏楽部の顧問である高橋先生から手紙が届き、そこには大義さんの物語を紡いだ中井への感謝がつづられていた。中井は「生きている間も愛された大義くん。これからスクリーンを通して、全国、世界の皆さんに、大義くんを愛していただきたい」と涙を流していた。感動に包まれた舞台挨拶となったが、最後に神尾は「たくさんの方の想い、大義くんのかっこよくてたくましい生き様が描かれています」と力強く語っていた。
取材・文/成田おり枝