「二度と観たくない傑作」「近年最もグロい」世界中の映画祭を戦慄させた“R18+”台湾ホラーとは?
感情を揺さぶられた批評家から絶賛の声が多数!
2021年1月に台湾で公開された本作は、同年夏以降に世界各国の映画祭に相次いで出品を果たす。歴史あるロカルノ国際映画祭をはじめ、カナダで行われたファンタジア国際映画祭では初監督作品を対象にした「New Flesh Award for Best First Feature」部門で最優秀映画賞を受賞。さらにジャンル映画界の権威といわれるシッチェス・カタロニア国際映画祭のMidnight X-Treme部門にも正式出品。ブルックリンホラー映画祭でも監督賞と観客賞のダブル受賞を果たすなど、世界中を席巻した。
アメリカを代表する批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家の90%から好意的な評価を獲得。それでも寄せられたレビューに目を通してみると、「二度と観たくない傑作」(F This Movie!)という言葉をはじめ、感情を大きく揺さぶられた批評家から様々な賛否が巻き起こっている。その大部分を占めるのは、やはり容赦ない残酷描写の数々。レビューの一部を見ているだけで本作の衝撃度の高さをうかがい知ることができるだろう。
「内臓を抉られる衝撃」(Echo Boomer)
「最高に狂暴な異端ホラー。掴まれたら最後、見せつけられる地獄から思わず目を逸らしてしまうほどの凶悪な賛歌」(Bloody Disgusting)
「近年最もグロいゾンビ映画の一つ」(RobertEbert.com)
「間違いなく、いままで観たなかで最も血まみれの映画」(Phindle)
「繊細な人にはこのひどく残酷な映画を見ることはお勧めできない」(My New Plaid Pants)
「底なしの悪感と苦痛。猥雑さと真っ黒な闇を楽しむためだけのもの」(HeyUGuys)
残酷描写以外にも、「シュールで血なまぐさい、それでもどこか優しい『哭悲/THE SADNEES』は、泣きたくなるようなグロテスクなユーモアに満ちている」(RobertEbert.com)といった声や、「ゾンビ映画に分類されるが、もっと複雑な何かが起こっている」(Eye for Film)、「ロブ・ジャバズ監督は、耳を傾けるべき魅惑的な警告を発している」(Cinema Crazed)など、安易に残酷さを売りにした作品ではなく、ストーリーやテーマに深みがあることを感じさせるものも。
最後にProjected Figuresのアントン・ビテルの秀逸なレビューを引用しよう。「映画では、涙はほとんど見られないが血は大量に流され、人間の経験はすべて基本的な肉欲の堕落に還元される。感染者たちは引きつった笑みを浮かべて生き、死に、その悲しみは私たちのものである」。目を背けたくなる描写の奥にある、パンデミックを生き抜いた人間たちの生々しき姿。是非ともその衝撃を映画館で目撃してほしい。
文/久保田 和馬