スコット・デリクソン監督が明かす、“恐怖”の原初的体験「観ることも作ることも、克服することだった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
スコット・デリクソン監督が明かす、“恐怖”の原初的体験「観ることも作ることも、克服することだった」

インタビュー

スコット・デリクソン監督が明かす、“恐怖”の原初的体験「観ることも作ることも、克服することだった」

“21世紀のもっとも恐ろしい映画”と謳われた『フッテージ』(12)のスコット・デリクソン監督と主演のイーサン・ホーク、製作のジェイソン・ブラムのチームが再結集して映画化した『ブラック・フォン』(公開中)。現代ホラー映画界を担う作り手の一人であるデリクソン監督が本作を手掛けた背景には、どのような想いがあったのか。彼のインタビューを通してその源流を辿っていきたい。

13歳の少年フィニーは、突然男に連れ去られ地下室に閉じ込められる…
13歳の少年フィニーは、突然男に連れ去られ地下室に閉じ込められる…[c] 2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

本作の舞台は、子どもの行方不明事件が頻発していたコロラド州デンバー北部のとある町。学校の帰り道に、自らをマジシャンだと名乗る風船を持った男に出くわした13歳の少年フィニーは、気が付くと地下室のような密室に閉じ込められていた。壁に囲まれたその部屋には鍵のかかった扉と鉄格子の窓、そして“断線している電話”があり、突如としてその電話のベルが鳴り響く。恐る恐る受話器を取ったフィニーが耳にしたのは、死者からのメッセージだった。

『ヘルレイザー ゲート・オブ・インフェルノ』(00)で長編デビューを果たし、『エミリー・ローズ』(06)が大ヒットしたことで一躍注目を集めたデリクソン監督。その後もマーベル・シネマティック・ユニバース作品の『ドクター・ストレンジ』(16)で監督を務めるなど、ホラー映画で築きあげた演出力をあらゆるジャンルの作品に応用していく能力に長けた監督として、映画ファンから信頼を勝ち得てきた。


『フッテージ』や『ドクター・ストレンジ』でその手腕を発揮してきたスコット・デリクソン監督
『フッテージ』や『ドクター・ストレンジ』でその手腕を発揮してきたスコット・デリクソン監督[c] 2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

そんな彼が長年関心を抱いてきたのは“複雑に絡み合う感情”と“子どもの頃に味わう痛み”、そして“悲劇を乗り越える子どもの力”に焦点を当てた映画を作ることだったという。フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』(59)のような、子ども時代特有の痛みとそこからの回復力を描く物語を探していたデリクソン監督があるとき本屋で出会ったのが、その頃発売されたばかりだった一本の短編小説だった。

ホラー小説界の大家として知られるスティーヴン・キングの息子ジョー・ヒルが発表した短編集に収録されていた、約20ページほどの掌編「黒電話」。「当時はまだスティーヴン・キングの息子だと知らず、『こいつはすごい作家だ!』と感じました。以来この作品のことを忘れたことはなく、どうしたら映画化できるかをずっと考えていました」と、この物語と出会った衝撃を振り返るデリクソン監督。

【写真を見る】“21世紀のもっとも恐ろしい映画”を生みだしたチームが再結集!スティーヴン・キングの息子が書いた短編小説を映画化
【写真を見る】“21世紀のもっとも恐ろしい映画”を生みだしたチームが再結集!スティーヴン・キングの息子が書いた短編小説を映画化[c] 2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

そして映画化のタイミングを見計らいながら15年近い歳月を経て映画化権を獲得。脚本パートナーのC.ロバート・カーギルと一緒に脚本の執筆作業に取り掛かり、ブラムハウス・プロダクションズのブラムのもとに脚本を持ち込む。ブラムからはゴーサインとして、ケースに収められた一台のダイヤル式黒電話が贈られたそうだ。

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