『ブラックアダム』や『シャザム!』続編にキアヌ・リーブス執筆のコミックスまで!サンディエゴ・コミコンで発表された最新情報をお届け
3年ぶりにサンディエゴで開催されたポップカルチャーの祭典、コミコン・インターナショナル(サンディエゴ・コミコン)。映画館の完全復活、多彩なストーリーテリングが楽しめるテレビシリーズ全盛を受けて、各スタジオは人気作品のアップデートや新作情報をふんだんに盛り込んだプレゼンテーションを行った。
フェーズ4の最終章や新フェーズの誕生など、話題に事欠かないマーベル・シネマティック・ユニバース。ラインナップ15本が一挙発表されたが、MCU全作品に関わってきたマーベル社の制作担当役員であるビクトリア・アロンソのインタビューを近日中にお届けする。
MCUの対角をなすDCエクステンデット・ユニバースからは、ドウェイン・ジョンソン主演の『ブラックアダム』(12月2日(金)公開)と、異色のヒーロー・シャザムの第二弾『シャザム!~神々の怒り~』(今冬公開)という、近日公開の2作品の情報が先出された。DCコミックスの共同発行人で、CCC(クリエイティブ統括役員)のジム・リーは、「2年間の引きこもりから復活して、こうしてここに立てるのは最高ですね!」と言い、その2年間の間に作られたジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』について、「今後続編が作られることはないでしょう」と語っている。また、8月5日(金)よりNetflixで配信開始になる『サンドマン』の予告編も公開になった。ニール・ゲイマンのコミック原作をもとにしたシリーズで、夢をテーマに壮大なダーク・ファンタジーが繰り広げられる。夢を司る“ドリーム”を、『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』(Netflix)のトム・スターリッジが演じる。
そのほか、10月25日に発売になるロールプレイングゲームの『Gotham Nights(原題)』の予告編、2023年公開予定の4本のアニメーション映画『Legion of Super-Heroes』『Batman: The Doom that Came to Gotham』『RWBY x Justice League』『Justice League: War world』についての発表もあった。これらはタイトルが発表されたのみで、今後詳細が出てくるだろう。
DCの『サンドマン』に加え、Netflixもいくつかのイベントを行っていた。7月22日より配信されている『グレイマン』のセットを再現したコーナーや、キアヌ・リーブスが共同執筆するコミックの実写化とアニメ化の発表などが行われている。そのコミック『BRZRKR』のアニメ化は、プロダクションI.G.が手がけるという。アメリカ政府お抱えの殺人エージェント、Bの物語で、キアヌ・リーブスは実写版でBを演じ、アニメシリーズでもBの声を担当する。サンディエゴ・コミコンの最大の舞台であるホールHに登壇したリーブスは「自分がホールHに立っているなんて誰が想像したでしょうか。時間を割いてここに集まってくださったみなさんにも感謝いたします。『BRZRKR』は、暴力に呪われた男が自身の出自を探りながら、人間性を取り戻す物語です。子どものころ、コミックが入った袋を抱えて家に帰る日は、とても良い日だったと記憶に残っています。物語を伝えるすばらしいアーティストたちとのコラボレーションを一年以上見守ってきました。私の人生の中で最高のクリエイティブな日々でした」と感慨深げに語っていた。
アマゾン・スタジオは、9月2日(金)より配信になる『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』の最新予告編を公開するプレゼンテーションを行った。ロザムンド・パイク主演のファンタジー大作『ホイール・オブ・タイム』は、シーズン3の制作が決定。まだシーズン2の配信開始日は明らかになっていないが、有名ファンタジー原作のドラマシリーズ化だけに、期待が高まる。
北米で7月29日より配信開始されたドラマシリーズ『Paper Girls』の試写も行われた。グラフィックノベル原作のドラマ化で、レジェンダリーピクチャーズとブラッド・ピットの製作会社プランBが制作に名を連ねる。舞台は1988年、オハイオ州クリーブランド。ハロウィン直後に新聞配達をしていた4人の少女がタイムトラベルに巻き込まれ、2019年に到達してしまう。
このほか、『セヴェランス』のオフィス体験コーナーなどもあったApple TV+やパラマウント・プラスなど、多くのスタジオがサンディエゴ・コミコンを作品のキックオフや宣伝ハブの場所として使っている。3年ぶりのリアル開催で、人気のホールHに入るまでは徹夜で並ぶファンも多くみられた。DCコミックのジム・リーが言うように、家にこもっていたこの2年間、こうしたポップカルチャーに救われていた人も多いはず。大人数で映画館で観る映画が完全復活を遂げ、クリエイターたちがあたためていた企画が花開き、これから映画やドラマシリーズが新しい振興期を迎える予感に満ちている。
文/平井伊都子