ティルダ・スウィントンが一人芝居!ペドロ・アルモドバル監督作『ヒューマン・ボイス』公開決定
最新作『パラレル・マザーズ』(11月3日公開)も控えるスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督。彼が、オスカー女優ティルダ・スウィントンを主演に自身初の全編英語劇に挑んだ短編映画『ヒューマン・ボイス』が、11月3日(木・祝)より日本公開されることが決定。このたびポスタービジュアルと予告映像、場面写真が一挙に解禁された。
ロベルト・ロッセリーニ監督がアンナ・マニャーニ主演で映画化したこともあるジャン・コクトーの名作戯曲「人間の声」をアルモドバル監督ならではの解釈で翻案した本作は、元恋人に別れを告げられたばかりの女性を主人公に、電話での会話だけで展開する物語。スーツケースを取りにくるはずが、結局姿を現さない元恋人を待ち続ける1人の女。彼女は無力感に苛まれ、絶望を味わい、理性を失う。さまざまな感情を体験したところで、やっと元恋人から電話がかかってくるのだが…。
このたび解禁された予告映像は、耳にイヤホンをつけた女がベランダの花にガソリンを撒いている衝撃的なシーンから始まる。なにかを探しているのか、スーツやトランクのにおいを嗅ぎ回る犬と、スマホの画面を確認しては怒りに苛まれる女の姿。メイクを施し、ベッドに置いたスーツに手を添えながら眠りに就いたかと思えば、色鮮やかなブルーのスーツで工具店を訪れ、ライターを付けたり斧を振りかざしたり。30分の短編ながら怒涛の展開が待ち受けていることを予感させる映像に仕上がっている。
見事な一人芝居を演じ切ったスウィントンについてアルモドバル監督は「抽象的で演じるには困難があるこの役には、真実味と感情を持たせる優秀な女優が必要だった。彼女の知性と意欲、そしてとてつもない才能と、私に対する絶対的な信頼が大きな役割を果たした」と絶賛。圧倒的な存在感を放つ現代の名女優と、アルモドバル監督が放つ化学反応を、この機会に劇場のスクリーンで堪能してほしい。
文/久保田 和馬