いまだから話せる!『ONE PIECE FILM RED』ウタ役・名塚佳織が心を掴まれたシーンは「ルフィとシャンクスの共闘」
『ONE PIECE FILM RED』(公開中)が記録を塗り替え続けている。公開20日で興行収入100億円を突破、38日目には動員人数1000万人を突破。公開46日間にして興行収入150億円を突破し、その勢いは留まること知らずだ。物語の舞台は、世界中が熱狂する歌姫ウタが初めて公の前に姿を現すライブが行われる島、エレジア。別次元と評されるウタの歌声を楽しみに、ルフィ率いる麦わらの一味や、海賊、海軍など、世界中のファンが会場を埋め尽くすなか、ウタが“シャンクスの娘”であるという衝撃的な事実の発覚で物語の幕が上がる。
本作のヒロイン、ウタ役はボイスキャストを名塚佳織、歌唱キャストをAdoが務め、二人一役で世界の歌姫、かつシャンクスの娘という重要なキャラクターを作り上げた。映画公開前に行った2ショットインタビューでは、名塚とAdoの『ONE PIECE』愛やウタ役に込めた想い、役作りの裏側などをたっぷりと語ってもらった。今回は、公開後の反響に、「やっとホッとできている」と話す名塚に、大ヒット公開記念インタビューを実施。具体的なシーンやセリフにも触れながら、いまだから話せるアフレコ裏話、そして名塚が「何度でも観たいおすすめシーン」も教えてもらった。
※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
「結末を知ったうえでの収録でしたが、『ラストのことは考えず、目の前のことだけを考えよう』と」
アフレコは基本的に台本通り、順番に収録していったという。「結末を知ったうえでの収録でしたが、スタートを切った瞬間『ラストのことは考えず、目の前のことだけを考えよう』と切り替えました。目の前にあるセリフと、目の前にいるルフィとの対話だけに集中して収録していきました。順番に録れたことで、スムーズに気持ちの変化を作ることができました」と振り返る。
映画公開にあわせて、「週刊少年ジャンプ」本誌では、ウタが曲を作る際の心情がウタ漫画として描かれ、Youtubeでも歌姫ウタの日常や想いが垣間見える「ウタ日記」が配信され映画公開前からウタに注目が集まった。このことについては、「本編の収録が先だったので、役作りの参考にはできませんでした(笑)。アーティスト役なので、楽曲作りでの心情はとても大切。なので、私の役作りとしては、ウタの設定資料と一緒にいただいていたフルバージョンの楽曲を繰り返し聴くことでした。楽曲に込められた想いを私なりに想像を膨らませ収録に挑みました」と語った。
後からウタの心情を知ることで「答え合わせ」ができた部分もあった。「『ウタ日記』にファンの子からもらった手紙のエピソードがあります。自分の歌がいろいろな人の手助けになると気づいたきっかけが明確に描かれていることに驚くと同時に納得しました。そしてなにより、みんなのためにライブを開催したい、歌い続けたい、幸せにしたい、楽しい世界に連れて行ってあげたいという心情は、私が想像したものにとても近かったので『一緒だったんだ』とうれしさも感じました」。
フランスでは、初日動員数でアニメ映画トップとなり歴史的な大ヒット中。Apple Musicのランキングでは、主題歌「新時代」が1位、その他劇中歌も軒並み上位にランクインするなど、音楽シーンでも日本を席巻中だ。「自分のやるべきことを必死にやらなきゃという思いだけで初日を迎えましたが、この反響には本当に驚いています。映画公開前にミュージックビデオが公開されたり、『ウタ日記』では映画公開初日にウタがライブの日を迎えるんだという気持ちを感じられるようになっていた。観客の皆さんに公開前から作品を楽しんでもらうための仕掛けがすばらしかったと思います。
グッズやゲーム、テレビ番組でも様々な展開をして、いろいろな場所でルフィやウタに会える。映画のなかだけでなく、現実世界と地続きになっている感じが皆さんをワクワクさせたのではないかなと思っています。世界の反応を見て思うのは、やっぱり音楽、そしてエンターテインメントに国境は関係ないということ。いろいろな楽しみ方で盛り上がっていただけるのは、すごくうれしいし、欲をいうなら、もっともっとさらに広がっていってくれたらいいな」。
名塚の周囲の反響も、いつもとは違っていると教えてくれた。「大人になって、しばらくアニメから離れていた友達からの『観たよ!』『グッズ買ったよ!』とか、『アルバム、ダウンロードしたよ』という連絡が多かったです。原作やアニメを追えていなくても楽しめるのも『ONE PIECE FILM RED』の魅力だと感じています。ウタの目が髪の毛で隠れていたり、シャンクスやルフィも敢えて多く語らない。『背中で語る』じゃないけれど、ちょっと懐かしいかっこよさみたいなところや心情を想像する楽しさが、最近アニメに触れてなかった大人の心をくすぐったのかな、なんて思っています」。