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銃×少女×日常系コメディ「リコリス・リコイル」の“ユルサ”さと“クール”さに迫る

コラム

銃×少女×日常系コメディ「リコリス・リコイル」の“ユルサ”さと“クール”さに迫る

等身大な少女たちがクールなガンアクションを披露するギャップ

かように等身大な少女たちが、任務に入ると途端にクールなガンアクションを披露するのもまた「リコリコ」の魅力だ。リコリスたちは生身の人間であるがゆえにアクロバティックな動きは少ないが、多彩なアングルチェンジのなかで緩急をつけつつ、リロードやリコイル(射撃時の反動)といった挙動をきちんと見せていく作画は正統派アクションといった印象を受ける。

千束の相棒で、DA本部から左遷された井ノ上たきな
千束の相棒で、DA本部から左遷された井ノ上たきな[c]Spider Lily/アニプレックス・ABC アニメーション・BS11


さらには、非殺傷弾を使う千束が最強と呼ばれる理由――自身に向けて発射された銃弾を回避する才能が、ベタな表現ではあるけれど、実にシビれる!やけくそに連射してくる犯罪者にも躊躇なく、顔色も変えずに接近しながら銃をぶっ放す千束は、さながら不死身のターミネーターのようだ(余談だが、第4話ではターミネーター風のBGMをとんでもないシーンに挿入して笑わせに来る)。

DAを潰すことを目的とし、千束に執着するテロリストの真島
DAを潰すことを目的とし、千束に執着するテロリストの真島[c]Spider Lily/アニプレックス・ABC アニメーション・BS11

この類稀なる千束の才能が引き金となり、シリーズ後半で物語は大きく動きだすことになる。DA本部を揺るがした銃取引事件の真相。千束をねらう意外な人物。そして、いくつものピンチを潜り抜けて頼もしいバディとなった千束とたきなには、刻一刻と“選択”の時が迫る。

タイトルにもあるリコリスはヒガンバナ科の植物で、その代表である彼岸花の花言葉は「独立」や「あきらめ」、「悲しい思い出」。千束とたきなの関係性に重ね、どうしてもネガティブな未来を予測してしまうのは私だけではないはずだ。ただ、彼岸花でも白の花弁を持つものには、「また会う日を楽しみに」「想うはあなたひとり」という花言葉があるという。完全オリジナル作品である「リコリコ」の結末を知る者は、関係者以外にまだいない。白い彼岸花に想いを託し、来るべき時を待とうではないか、共に。

文/ほそいちえ

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