ムロツヨシ、『川っぺりムコリッタ』を観た幼なじみから「いい役者になった」と賛辞。松山ケンイチ&荻上監督に感謝
荻上直子監督最新作『川っぺりムコリッタ』(公開中)の公開御礼スぺシャルQ&A上映会が10月11日に新宿ピカデリーで開催され、松山ケンイチ、ムロツヨシ、荻上監督が登壇。上映後の観客からの質問に答え、会場を盛り上げた。
「ひっそりと暮らしたい」と無一文のような状態で、川べりの古いアパート“ハイツムコリッタ”に引っ越してきた孤独な男、山田が(松山)が、様々な事情を抱えた住人たちと出会い幸せを見つけていく様子を描く本作。会場からたくさんの手が挙がり、細かいシーンやセリフなどについての質問が続くなど、上映後の高揚感と熱気にあふれたイベントとなったこの日。
最初に手を挙げた観客の女性は、山田の過去に触れるシーンでの、松山とムロの演技が「すばらしかった」と絶賛。「どのように撮影をしたのですか?」と尋ねると、松山とムロは「仕草などは、意識してやっていたわけではない」と口を揃えた。松山は「“これをやろう”と思ってやっているわけではないけれど、身体が動く瞬間ってあるものですよね。たぶん、荻上監督が天才なんだと思います」、ムロも「そうなんですよね。荻上さんが作った世界で生きることを考えていた」と荻上監督のなせる技だと分析。天才と評された荻上監督は「次の作品でも、二人を主役にします」とご満悦の表情を見せ、会場の笑いを誘っていた。
さらに「金沢から来た」という女性は、ロケ地となった富山県の名物である、“黒作り”という黒い塩辛が登場するシーンについて言及。「私も富山のお米と“黒作り”を食べて、すごくおいしかった。でも“黒作り”をご飯にのせると、どうしてもご飯が真っ黒になってしまう。どうやったら(劇中の)松山さんのようにきれいに食べることができるのでしょうか?」と劇中のおいしそうな食シーンが気になっているそうで、松山は「どれくらいの分量をのせているんですか?がっつりとのせていませんか?僕は1本ずつのせています」と分量が決め手となる様子。女性が「すごくきれいに食べられていた。練習をされたのかなと思った」と続けると、松山は「意識していなかったですね。やっぱり荻上監督が天才なんじゃないでしょうか」と再び“荻上監督・天才説”を提唱して、会場から拍手を浴びていた。
終始笑顔にあふれたセッションとなったが、ムロは「公開から3週間ちょっと経ちましたが、こうして皆さんの前でご挨拶できること、この作品のお話をする機会ができて、ありがたい」としみじみ。「小学校からの腐れ縁の人間が、この映画を観て『いい役者になりましたね』という言葉をくれました。役者を目指して27年経ちます。2、3週間前にも大喧嘩したような仲なんですが、彼からそういう言葉をいただける日が来るとは思わなかった。本当に荻上さんに感謝しています」と自身にとっても特別な作品になったという。さらに「そのメールをいただいて『いやいや、監督と主演がすばらしいんですよ』と返事をした、僕もすばらしい」と続けて、周囲を笑わせていた。
松山も「公開からしばらく経って舞台挨拶ができるのは、ほぼ奇跡に近いと思います」と貴重な機会になったことを喜びながら、「監督は今日、(審査員を務めた)釜山映画祭から帰ってきた。ムロさんはドラマの撮影中だったりもするなか、こうやって集まれること、お客様に来ていただけること。これは本当に奇跡だなと思いました。今日はすごく楽しかったです」とうれしそうに語っていた。
取材・文/成田おり枝