残虐さに失神者や嘔吐者まで…全米の劇場を震撼させている、最恐ホラーの“正体”
アメリカでは毎年、ハロウィンが近付く10月になると様々なホラー映画が公開される。10月14日から10月16日にかけての週末興収ランキング上位10作品のうち4作品がホラー映画になるなど、今年は例年以上の盛り上がりを見せている。そんななかでひときわ大きな話題を集めているのは、10月6日に公開された『Terrifier2』という作品だ。
ダミアン・レオーネ監督がメガホンをとり、日本でも劇場未公開ながら配信サービスなどで観ることができる超低予算ホラー映画『テリファー』(16)の続編となる本作。ハロウィンの夜に現れるピエロの扮装をした殺人鬼アート・ザ・クラウンが蘇り、ある姉弟を襲うというストーリーで、そのあまりにも凄惨で残虐すぎる描写の数々に、失神したり嘔吐などの体調不良を訴える観客が続出しているとの報告が相次いでいるのだ。
そうした報告を受けて10月11日には作品の公式SNSが「この映画には生々しい暴力シーンや残忍なホラー描写が含まれています。心臓の弱い方、ふらつきやすい方、胃腸の弱い方は特にご注意ください」と警告文を出す異例の事態に。それでも“怖いもの見たさ”で口コミが拡がり、公開最初の週末までの4日間で興収120万ドルを突破し、興収ランキングの10位にランクイン。2週目には8位へとランクアップし、すでに累計興収336万ドルを記録している。
製作費わずか25万ドルの低予算作品とあって、興行的には大成功を収めている本作。前作に引き続きメガホンをとったレオーネ監督は、現地メディアに対して「ある意味で名誉なことに感じています。私は観客の皆さまを気絶させたり怪我をさせたくはありません」と語り、「この映画を観る人はおそらく前作も観てくれていると思います。前作にあった弓ノコギリを使った殺人シーンに匹敵するものを作ろうとしたのは、支えてくれるファンの方々の期待に応えようとしたためです」と説明。
一方で批評家からは辛辣な意見が寄せられやすい残虐なホラー映画だが、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は87%と、酷評が目立った前作を大きく上回る意外な高評価を獲得。有力批評家の間では賛否が真っ二つに分かれているものの、「失神するにはもったいない」との声があがるほど。
現時点ではまだ日本での公開予定のない『Terrifier2』だが、日本上陸の際には、心して劇場に足を運ぶのがいいだろう。
文/久保田 和馬