藤ヶ谷太輔、初めての映画祭で三浦大輔監督と笑顔!『そして僕は途方に暮れる』ハードな撮影で「アイドル業に支障をきたした」

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藤ヶ谷太輔、初めての映画祭で三浦大輔監督と笑顔!『そして僕は途方に暮れる』ハードな撮影で「アイドル業に支障をきたした」

第35回東京国際映画祭のガラ・セレクションで藤ヶ谷太輔主演映画『そして僕は途方に暮れる』(2023年1月13日公開)のワールドプレミア上映が行われ、Q&Aセッションに藤ヶ谷と三浦大輔監督が登壇。初めての映画祭への参加となった藤ヶ谷が観客からの質問にも応え、アイドル業にも「支障をきたした」というハードな撮影を振り返った。


日本公開前の最新作をプレミア上映する、東京国際映画祭のガラ・セレクションで上映された本作。2018年に上演された三浦のオリジナル舞台を、三浦の監督&脚本、藤ヶ谷主演という再タッグで映画化。藤ヶ谷演じるフリーターの菅原裕一が、ほんの些細なことから、恋人や親友、先輩、後輩、家族などあらゆる人間関係を断ち切っていく姿を描く逃避劇だ。ワールドプレミアを迎え、藤ヶ谷が「撮影は2年くらい前。いかがでしたでしょうか」と気にすると、会場から大きな拍手があがった。初めて映画祭に参加し、「チームでつらく、苦しい撮影を乗り越えた作品。選んでいただけたことがうれしい」と喜びをかみ締めていた。

【写真を見る】観客からの質問にも答えた藤ヶ谷太輔
【写真を見る】観客からの質問にも答えた藤ヶ谷太輔

逃避劇を描く映画となるが、「撮影の初日から逃げたいなと思った。楽しい思い出は一つもありません」と告白して会場の笑いを誘った藤ヶ谷。「最後の振り返りのシーンは、リハーサルも入れるとたぶん100回弱くらいはやったと思います」とテイク数を何度も重ねたそうで、そのシーンの表情については「正解を出さない表情。監督からは『日本語の辞書に載っていない言葉で、振り返ってください』と言われました」と頭を悩ませるような演出があったと語る。

身を削るような撮影期間だった様子だが、藤ヶ谷は「走ったし、濡れたし、自転車もめっちゃ漕いだ。実際に自分がどんどんやせていって、こけて、クマが出てくる感じも、すごく役とリンクしていた。いろいろなものを監督から引きだしていただいた」と充実感もたっぷり。三浦監督は「大変な想いをさせてしまった」と目尻を下げながら、その成果がお客様に届いていると信じています。常人じゃないというか、後半になるに従って、藤ヶ谷くんの顔つきが、菅原でしかなくなっていく」と藤ヶ谷の魂を注いだ演技を絶賛していた。

監督の三浦大輔
監督の三浦大輔

観客からは「ここをぜひ観てほしいというシーン」について質問があがり、藤ヶ谷は「土下座のシーン」と回答した。そのシーンは最初のテイクが採用されたというが、「行くしかない!と思って、全部出しきったら、三浦さんには珍しく『120点が出たよ!』って。『よかった、初めて1回目のテイクでオッケーが出るかな』と思ったら、『あと8回、頑張ろう』と言われて。貧血みたいになった」と限界突破から、どこまで行けるのかという戦いがあったと明かして、2人で大笑い。

続けて藤ヶ谷は「撮影が終わってからも、通常の自分のテンションに戻るのに、半年くらいかかりました」と告白しつつ、「アイドル業に支障が出ましたね」とぶっちゃけて会場を笑わせた。「それから半年くらい、心も表情も動かず。これはしっかりと役と向き合えた証拠でもあるのかなと、ポジティブに捉えています。その後すぐにライブがありましたが、菅原裕一が歌って、踊っているみたい」と笑いながら、「そういう経験もなかったので、いろいろ気づくことができてよかったなと思います」と苦労もありながら、貴重な経験ができたことに感謝していた。


笑いを交えながらのトークも弾み、2人がしっかりと信頼関係で結ばれることが伝わってくる時間となったが、三浦監督が「藤ヶ谷くんの頑張りを評価していただきたい。『2』とかできたらうれしい」と早くも続編を希望するひと幕も。藤ヶ谷は「『2』…。ちょっと考える時間をもらっていいですか」と茶目っ気たっぷりに語りながら、「共感の部分もあれば、いまの時代だからこそ感じられる、人とのつながりも感じていただけるのでは。命を削りながら頑張った作品。たくさんの方に届いたらいいなと思います」と胸を張り、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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