『ザリガニの鳴くところ』リース・ウィザースプーン、敏腕プロデューサーの秘訣は抜群の発掘センス!
幼い頃より子役として活躍し、ホアキン・フェニックス共演『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(05)でアカデミー賞主演女優賞に輝いた実力派女優のリース・ウィザースプーン。自身のメディア制作会社「ハロー・サンシャイン」を持つ彼女が、自らプロデューサーとして名乗りをあげた衝撃作が『ザリガニの鳴くところ』(公開中)だ。
本作は、6歳の頃から湿地帯でたった一人で暮らす少女が殺人事件の容疑者となったことで紐解かれる、愛と真実のミステリー。
1969年、アメリカ・ノースカロライナ州の湿地帯で裕福な家庭で育った青年の死体が発見された。町の多くの人々が「湿地帯の少女」と呼ばれるカイアの犯行を疑い、容疑者となった彼女は法廷で裁かれることに。幼い頃より気づかってくれていたトム・ミルトンの弁護のもと、カイアの壮絶な半生と初恋が語られていく。
「主人公のカイアに心奪われた」というウィザースプーンが映画化を熱望し、同じく原作を愛するテイラー・スウィフトが本作の印象的なシーンをモチーフに作曲した楽曲「キャロライナ(Carolina)」を提供。英ドラマ「ふつうの人々(ノーマル・ピープル)」で注目された新星デイジー・エドガー=ジョーンズがカイアを演じ、『ノマドランド』(20)のデビッド・ストラザーンがミルトン弁護士に扮している。
ウィザースプーンはこれまでにも数々の作品をプロデュースして、抜群のセンスで数々のヒット作を生みだしている。ここではその敏腕プロデューサーぶりを振り返ってみたい。
『ゴーン・ガール』ほか自らの製作会社でヒット作を連発
15歳の時に主演した『マン・イン・ザ・ムーン あこがれの人』(91)でスクリーンデビューしたウィザースプーンは、『キューティ・ブロンド』(01)の世界的ヒットにより一躍スターダムにのし上がった。
そんな彼女のプロデュース力が広く世に知れ渡ったのは、2012年にブルーナ・パパンドレアと共同で製作会社「パシフィック・スタンダード」を設立した時。すでに2000年に立ち上げていた「Type A Films」の流れを汲むこのプロダクションで、ベン・アフレック×ロザムンド・パイク『ゴーン・ガール』(14)、そして自ら主演した感動作『わたしに会うまでの1600キロ』(14)と、次々と話題作を世に送りだしたのだ。
『わたしに会うまでの1600キロ』は、『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)のジャン=マルク・バレがシェリル・ストレイドの自叙伝を映画化したヒューマンドラマ。最愛の母を亡くし自暴自棄になっていた自分を立て直すために、1600キロに及ぶアメリカ三大長距離自然歩道の1つである「パシフィック・クレスト・トレイル」に挑んだ女性の人生の再生を描く。ウィザースプーンは始終抑えた演技で、心に深い傷を抱えながらも何とかして這い上がろうとするシェリルの苦悩と闘いを見事に体現。アカデミー賞ではシェリルの母親役を演じたローラ・ダーンが助演女優賞、ウィザースプーンが主演女優賞にノミネートされ、あわせて彼女のプロデュース力も話題となった。
そして様々な活動を通じて男性優位なハリウッドシステムに風穴を開けようとしてきた彼女は、女性たちのさらなる活躍の場を創り出すため2016年に「ハロー・サンシャイン」を設立。そこでメガヒットとなったドラマがニコール・キッドマンと共同製作&W主演した「ビッグ・リトル・ライズ」だ。本作ではキッドマン、ウィザースプーンをはじめにシャイリーン・ウッドリー、ゾーイ・クラヴィッツ、ローラ・ダーン、メリル・ストリープら豪華俳優陣が多数出演。カリフォルニアの高級住宅地を舞台に、セレブママたちの秘密が暴かれていくスタイリッシュなサスペンスには夢中にさせられた。
また、ジェニファー・アニストンとW主演した「ザ・モーニングショー」では、朝の情報番組を舞台に、セクハラ問題にも目くばせしつつビジネスウーマンの生き様を赤裸々に描きだした。本作でウィザースプーンはプロデュースを務めるとともに、熾烈なテレビ業界を生き抜いていく女性キャスターのブラッドリー役を好演している。