「イキウメ」から「刀剣乱舞」まで…舞台映像を未来に残すための課題とは?「EPADシンポジウム2022」が開催
海外に日本の舞台芸術のすばらしさを伝える取り組みも
第二部のテーマは「国際交流の現場から」。国際交流基金が始めたYouTubeチャンネル「STAGE BEYOND BORDERS」では、日本を代表する舞台作品を7言語字幕付きで無料配信する取り組みを行っているが、EPADはそのうち、演劇・舞踊・伝統芸能など50作品を提供している。こちらには「刀剣乱舞」など2.5次元ミュージカルの人気作品も公開されており、本作の再生回数は現在118万回を突破。日本に古くから伝わる伝統芸能だけでなく、現代の日本ならではのコンテンツも入っているため間口が広く、国内外から好評を得ている。第二部では国を横断するプロジェクトに関わってきたディレクターやコーディネーターが登壇し、日本の舞台芸術のすばらしさを海外に伝える様々な可能性について話し合っていく。
登壇者は、京都国際舞台芸術祭KYOTO EXPERIMENTの共同ディレクターである川崎陽子や、国際共同制作作品や海外ツアーなどにおける海外フェスティバルや劇場との渉外業務を担当してきたSPAC-静岡県舞台芸術センター芸術局長の成島洋子のほか、緊急事態舞台芸術ネットワーク/ゴーチ・ブラザーズの伊藤達哉、先日パリ公演を終えたばかりの劇団「贅沢貧乏」制作の堀朝美。モデレーターはEPAD2022の事務局長、三好佐智子が務める。
昨年行われたシンポジウムでは、「配信とリアルの舞台をどう棲み分けていくか、どう共存していくのかが課題。劇場に舞台を観に来られない人たちがどのように疑似体験できるか、そして舞台創作に関わる人たちの権利がどう守られるか、これらが整理できれば新しい形が見えてくるのではないか」(ネルケプランニング・松田誠)、「文化はタダじゃないというのは心理だが、一方で文化はすべての人にあるべきだとも思う。だからお金を払う人だけじゃなく、オンラインで無料視聴できるものこそ、入り口として有効なのではないか」(溝端俊夫・ダンスアーカイヴ構想)といった、舞台人たちによる興味深い意見が飛び交ったが、今年はどのようなディスカッションが展開されるのだろうか?
今回のシンポジウムでは、第一部、第二部ともに事前の申込みは不要で、イベント公式サイトから視聴可能となっている。あらゆる舞台のアーカイブ化が実現することで、様々な活用の可能性に満ちているEPADの事業。果たしてゲスト陣は、舞台映像の活用についてどんな熱い意見を交わしていくのか。舞台だけでなくカルチャーを愛するすべての人に、ぜひご覧いただきたい。
文/山崎伸子
2022年12月1日(木)
第一部 13:30〜15:00 「教育・研究の現場から」
第二部 15:30〜17:00 「国際交流の現場から」
第一部:「教育・研究の現場から」
梅山いつき(近畿大学)
岡室美奈子(早稲田大学演劇博物館)
多和田真太良(玉川大学)
松山立(日本大学)
モデレーター:横堀応彦(国際演劇協会日本センター/跡見学園女子大学)
第二部:「国際交流の現場から」
伊藤達哉(緊急事態舞台芸術ネットワーク/ゴーチ・ブラザーズ)
川崎陽子(KYOTO EXPERIMENT)
成島洋子(SPAC-静岡県舞台芸術センター)
堀朝美(贅沢貧乏)
モデレーター:三好佐智子(EPAD2022 事務局長/quinada)
視聴はこちらから
※ご視聴には、事前申し込みは必要ありません(無料)。
※当日お時間になりましたら、上記URLよりご視聴ください。
※本シンポジウムは後日アーカイブ映像の配信を予定しております。
【主催】EPAD2022 実行委員会
【企画制作】公益社団法人国際演劇協会日本センター