『すずめの戸締まり』動員200万人突破に新海誠監督が「信じられない数字」。原菜乃華&松村北斗の生アフレコに「とてもすてき」と賛辞も
『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)に続く新海誠監督3年ぶりとなる最新作『すずめの戸締まり』の大ヒット舞台挨拶が11月18日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、原菜乃華、松村北斗、新海監督が登壇。全国343館に向けた生中継舞台挨拶で、原と松村が生アフレコを披露した。
本作は日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女、鈴芽の解放と成長を描く現代の冒険物語。1700人を超えるオーディションから選ばれた原がヒロインの鈴芽、扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年、草太役を松村が演じた。全国で中継されているとあって、新海監督は「僕の地元の長野県の皆さんも観ていらっしゃると思う」、松村も「地元の静岡でも(中継を)観ていると思うと、うれしい気持ちもある」と笑顔を見せていた。
11月11日より公開となり、17日までの7日間で興行収入27.7億円、観客動員は200万人を突破する大ヒットを記録している。200万人という数字を耳にした新海監督は、「信じられない数字」と驚きを口にし、「僕がアニメーション映画を作り始めた時、最初は50人でいっぱいになる映画館だった。50人の方に拍手をいただいただけで、人生が変わるような感じでした。200万というのは、言葉にならないですね」と感激しきりだった。
日本全国から届いた本作の熱い感想をつづったメッセージボードを背景に、トークを繰り広げたこの日。新海監督はオーディションを振り返り、「メディアなどで『原菜乃華、松村北斗、アニメーション声優初挑戦』と書かれることがあるんですが、僕は2人の初挑戦がほしかったわけではなくて。菜乃華さんと北斗くんにやっていただけることが重要だった」と胸の内を吐露。「本当にガチのオーディションで選んだ。(芝居が)うまいだけではおもしろい映画にならない。鈴芽と草太のように不安を抱え、悩みながら、なんとか映画を完成まで導いて、つくり終わった後も一緒に届けてくれる人がほしかった。そういう人たちがこの2人」と原と松村にキャラクターを託した理由を明かした。
大役を担うことに不安もあったという原と松村だが、ステージでは生アフレコを披露するひと幕も。新海監督は「おとといの夜に急遽、台本を書きました」と生アフレコ用に執筆をしたそうで、「データが来て『台本!?もう(映画)公開したけど!』と驚きました」と松村も苦笑い。「落ち着かないので、アフレコをやっていた時の立ち位置に変えてもいいですか」と実際のスタジオと同じ並びになって、生アフレコがスタートした。
松村は「アフレコ中、誰にも顔を見られたことないですもんね」、原も「恥ずかしいですね」と照れていたが、いざアフレコが始まるとしっかりと鈴芽&草太になって熱のこもった演技を披露した2人。会場からも大きな拍手が上がっていた。
新海監督が「ありがとう。とてもすてきでした」と感想を語ると、松村は「苦しかったことも思い出しました。それでもやってこれたのは、新海監督がものすごく的確に、温かく包み込むようなディレクションをしてくれたから」とアフレコの日々を思い出してしみじみ。松村が「必ず褒めてくれる」と続けると、原も「『すごくすてきなお芝居でした。ありがとう』と言ってくれる。1日に何回も『ありがとう』と言ってくださって、『こちらこそありがとうございます』という気持ちでした」と支えてくれた新海監督に感謝していた。
また草太の友人、芹澤朋也役を神木隆之介が演じていることも話題となっているが、「先日お会いした」という松村は、「自分が演じた芹澤を『大丈夫だったかな』と心配されていました」と公開後の神木の様子を紹介。すると新海監督も「実は、数日前に神木くんが会いに来てくれた」という。「僕も映画が公開されてから、ずっと不安で怖くて怖くて、あまり眠れない日々が続いていて。一人で居酒屋のカウンターで飲んでいたら、『監督いま、なにをしているんですか?』というLINEのやり取りがあって。『一人なんですか?いまから行きますよ』って。カウンターで横に座りながら、『すずめ』の話をしました」と神木との時間を述懐してにっこり。「芹澤というキャラクターは、神木くんとちょっと重なる。押し付けがましくなく、それでいて包み込むようなものを持っているおもしろいキャラクター」と話していた。
取材・文/成田おり枝