「キャシアン・アンドー」シーズン1を総括…「スター・ウォーズ」サーガの概念が変わる!?「シリーズのなかで圧倒的におもしろい!」
「最初の印象だけで判断してはいけない作品だった」(佐藤)
西川「最終話はマーヴァの葬儀で物語の舞台がフェリックスに戻ってきますが、フェリックスを飛び立つまでのキャシアンのドラマを最初の3話を費やして、ゆっくり描いていったことが、ここにきて効いていましたね。シリーズの構成としては、すごく贅沢な作り。この3話があったからこそ、最終話ではちょっとウルっときましたよ」
佐藤「正直に言うと、僕は仕事じゃなかったら2話目くらいで観るのを止めていたかもしれない…(苦笑)。でも、これは最初の印象だけで判断してはいけない作品ですね。アクションなど僕が期待している『スター・ウォーズ』の要素がまったくないから、前半はその異質さに戸惑ってしまった。でも、全12話を通して観ると、リアリティがあるし、どんどんスリリングになっていくから、これから観る人には最初でくじけてほしくないですね」
下田「海外での評価もそんな感じでしたね。第1~3話は、ほかの『スター・ウォーズ』ドラマに比べると視聴回数が少なかったようで、“野心的なことをやることに意味がある”というような、やや控えめな評価が多かったのですが、エピソードが進むほど評価も高まっていきました」
西川「座談会の初回から気になるキャラクターとして人気だったシリル・カーン(カイル・ソラー)も、保安局をクビになってからは意外に活躍しないなと思っていたら、最後の最後に見せ場がありましたね!高圧的だった保安局の中尉デドラ(デニース・ゴフ)を暴動から助けたことで彼らの力関係は変わり、カーンは優位に立ったわけで、彼もシーズン2をおもしろくする存在になりそう。まだまだ注目する必要がありそうです」
「マッツ・ミケルセンのような『ローグ・ワン』の出演者が登場する可能性も…?」(下田)
佐藤「活躍が持ち越されたキャラクターはほかにもいたよね。保安局に捕まって拷問を受けていたビックス(アドリア・アナ)や、モン・モスマの従妹でアルダーニ襲撃事件のリーダーだったヴェル(フェイ・マーセイ)、その恋人のシンタ(ヴァラダ・セィスー)とか。彼女たちもシーズン2では、もうひと波乱あるでしょう。モン・モスマや、政略結婚を迫られるその娘も」
西川「さっき下田さんが指摘していたマーヴァもですが、思ってもいなかった人物が、のちに大きな存在となったりするのは、このドラマに関してはありますからね。シーズン2でもそれはあるかもしれない。最終話で爆弾を作っていた男の子も生き残りましたから、爆破担当として今後活躍するかもしれません。あと、第11話でキャシアンと一緒に脱獄して途中で別れたメルシ(ダンカン・パウ)は、反乱軍の一員として『ローグ・ワン』にも出ていたんですよね。だからシーズン2でキャシアンと再会する可能性は大いにあると思います」
下田「製作を手掛けたトニー・ギルロイはインタビューで、『シーズン2はシーズン1とはトーンが違うものになる』と言っているようです。そこで『ローグ・ワン』とつなげていく。ひょっとしたら、フェリシティ・ジョーンズ(ジン・アーソ役)やマッツ・ミケルセン(ゲイレン・アーソ役)のような『ローグ・ワン』の出演者が登場する可能性も…?」
佐藤「『ローグ・ワン』でのキャシアンの肩書は情報将校だから、諜報部署の長ってことですよね?反乱分子のヴェルやシンタなど、活躍が持ち越されたキャラクターが、そこに組み込まれる可能性もあるんじゃないかな?それとルーセンはカリスマ性だけでなく、スペースシップを操縦する腕もすごいことがわかったし、シーズン2では、パイロットとしてもっと宇宙で活躍してほしいなあ」
西川「シーズン1は1年間の話だけれど、2は『ローグ・ワン』につながる4年分の物語を描くそうですよね。それを思うと、1よりも展開は駆け足になるのかな。キャシアンが1で見せたおもしろい資質は、ヒロイックというより、周りを焚きつけるのがうまいということだと思うんです。アルダーニの反乱分子たちと合流した時も、キノ・ロイと共に脱獄を指揮した時も、言葉巧みというワケではないですが、素のままで語ると周囲が燃え立つような。そんな彼がシーズン2で、反乱軍の仲間をどう統率していくのか、気になりますね」
取材・文/有馬楽