松村北斗、神木隆之介は「学校で一番仲のいい先生みたい！」『すずめの戸締まり』“お返し申す”舞台挨拶が開催

『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)に続く新海誠監督3年ぶりとなる最新作『すずめの戸締まり』の大ヒット舞台挨拶第2弾「御礼“お返し申す”舞台挨拶」が11月28日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、原菜乃華、松村北斗、新海監督が登壇。フォトセッションには、ダイジンの声を担当し、そのかわいらしい演技で人々を魅了した山根あんが駆けつけ、新海監督に花束を贈った。

本作は日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女、鈴芽の解放と成長を描く現代の冒険物語。1700人を超えるオーディションから選ばれた原がヒロインの鈴芽、扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年、草太役を松村が演じた。公開から17日間の数字で動員数は460万人、興行収入は62億6000万円を突破する大ヒットを記録している。

新海監督は「とても大きい数字すぎてピンと来ない」と苦笑い。松村は「僕らもうれしい意味で、ピンと来ないですね」と切りだし、「新海さんが、この作品にはこういうストーリーが必要で、こういう声が必要で、こういう絵が必要だとかき集めたもの。観客目線もある」とコメント。原も「いち観客としても、出演者の一人としても特別な作品。皆さんにとっても特別な作品になっていっていると思うとうれしいです」と同調した。

3人は全国をキャンペーンでまわっているという。新海監督は「北斗くんのファンの人たちも来てくれている」と各地の会場を見渡した印象を語り、「僕たちだけでつくっていた映画では届かなかった場所に、届けていただいている。すごく親密な関係性ができあがっているなと思って。いい関係があるんだなと思っています」と松村とファンがいい関係を育んでいることを肌で感じている様子。松村は「そう言っていただけて救われます」と目尻を下げていたが、仕事の都合によって参加できない会場もあるという。そういった舞台挨拶も「ネットに張り付いて、SNSをチェックします」と宣言していた。

またこの日は、ファンから集まった質問に答えるひと幕も。そのなかには「(草太の友人である)芹澤が車のなかで聴いている音楽は、どのような基準で選んだのか？」との質問もあった。劇中の芹澤のプレイリストには、河合奈保子の「けんかをやめて」や、井上陽水の「夢の中へ」、松田聖子の「SWEET MEMORIES」など昭和ポップスが並んだが、新海監督は「僕が選んだ」と告白。車にはすずめの叔母である環も同乗していたことから、「芹澤がシチュエーションやゲストに合わせて、その場を和ませようとした、彼なりの不器用な思いやりなんです。環さんが自分より年長だから、ちょっと懐かしめのメロディをかけたら、この人は好きなんじゃなないかなという気持ちで音楽をかけている」とプレイリストにも芹澤の人間性が反映されていると解説した。

さらに「環は40歳という設定なので、あの昭和の名曲は環からしてもちょっと上の世代のもの。でも芹澤はその辺の感覚がよくわからず、自分より大人はこういう曲を聴いていたのかなと考えている。そういった解像度の低さからも、芹澤のパーソナリティを表したつもり」と続けた新海監督。アフレコでは芹澤を演じた神木隆之介に「フルコーラス歌ってもらった」そうだが、「ちょっとしか使わなかった」と笑顔を見せていた。

そしてステージにはその芹澤から、質問が届いた。「東京都在住の芹澤朋也さんからの質問です。僕の友人で俳優をやっている神木隆之介がいて、彼についてどう思いますか？」との質問で、芹澤の名を借りた神木からの問いかけだったが、松村は「オーディションをやるとなって一番最初にアドバイスをもらったのは神木くん。声優さんではない身が、声優業に足を踏み入れるのはどういうことなのかなど、いろいろなアドバイスを聞かせてもらった」と感謝しきり。「コーチ的な、先生的な関係性。神木先生。学校で一番フランクで仲のいい先生みたいな感覚」だと明かし、「優しい！」とかみ締めるように話していた。

最後には、ダイジン役の山根がサプライズ登場。3人も「えー！」と驚いていたが、松村は「初めまして。アフレコではお会いしませんでした」と挨拶。原は「アフレコで猫ちゃんの靴を履いて、(猫の)耳のようにした二つ結びのヘアアレンジをしていた。すごくかわいくて、とんでもない量の写真を撮らせてもらった。会えてうれしいです！」とアフレコ期間に仲よくなることができたのだとか。松村が「地でダイジンの声なんですね！ここ(喉)にエフェクター入れているの？」と劇中のキャラクターと同じ声であることに目を丸くするなか、松村の印象を聞かれた山根は「カッコいいしか言えません」と語り周囲も大笑い。松村は「えー！やめてよー！」と大照れだった。

取材・文/成田おり枝