アメコミ最古のヒーローチームなのに影が薄い…『ブラックアダム』で話題の”JSA”とは?
マーベルと共にアメコミ映画ブームを牽引しているDC。『マン・オブ・スティール』(13)からスタートしたDCユニバースの最新作で、“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンが最恐のアンチヒーローに扮した『ブラックアダム』が公開中。
本作で注目を集めているのが、ジャスティス・リーグとは別のDCのヒーローチーム、”JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)”の登場だ。このJSAとはいったいどんなチームなのかをここで解説していきたい。
アメコミ最古のヒーローチームだが…
これまで数多くのオールスターヒーローチームが生まれてきたアメコミのなかでも、最も早くに誕生したのがこのJSA。初登場は1940年に発刊されたその名も「All Star Comics #3」。チームの創設メンバーとして、ドクター・フェイト、アワーマン、スペクター、サンドマン、アトム、フラッシュ、グリーンランタン、ホークマンが顔をそろえた。
ちなみに、スーパーマンやバットマンも当時すでに存在したが、人気が高かったため正式メンバーにはならず、たまにゲストとしてコミックスに登場するのみ。グリーンランタン、フラッシュもキャラクターの人気の高まりにあわせて脱退するなど、目まぐるしくメンバーを変えながら継続したが、スーパーヒーロージャンル全体の人気低迷に伴い、1951年に「All Star Comics」が「All Star Western」と西部劇コミックに変わると、忘れ去られた存在となってしまう。
JSAの存在がマルチバースの扉を開いた
その後、スーパーヒーロー人気が盛り返した1960年代に“ジャスティス・リーグ”が誕生。コンセプトが被るJSAはこれによりいよいよなかったことにされてしまうと思われたが、ジャスティス・リーグのいる世界をアース1、JSAのいる世界をアース2とするマルチバース構想で存続。それ以降はジャスティス・リーグとJSAが共演する話も数多く作られた。
かと思えば、1985年の「クライシス・オン・インフィニット・アーシズ」でアース1とアース2が統合され、JSAはジャスティス・リーグの先輩という設定になると、解散を匂わせたり、再登場したり、壊滅状態になったりと不安定な状態になってしまう。
そして、1999年に「JSA」がスタートし本格的に復活を遂げると、かつてのヒーローたちに加えて、新たなヒーローたちも続々とチーム入り。新旧ヒーローをつなぐ架け橋的なチームとなり、今回の映画の主人公ブラックアダムもこのコミックスシリーズでJSAに加わった。
ブラックアダムとJSAの因縁の関係
コミックス「ブラックアダム/JSA:ブラック・レイン」を下敷きとする今回の映画『ブラックアダム』では、5000年の眠りから覚め、現代の地球で破壊の限りを尽くすブラックアダムを止めるべくJSAが登場する。
そのメンバーは、いかなる悪も許さない空飛ぶリーダー、ホークマンに、未来が見える魔術師でJSAの創立メンバーであるドクター・フェイト、嵐を操る新人ヒーローのサイクロン、巨大化能力を持つ新加入のルーキー、アトム・スマッシャーという面々。原作を意識した新旧の構成となっている4人が、ブラックアダムに立ち向かっていく。
「ブラックアダム/JSA:ブラック・レイン」では、元々メンバーだったもののチームから決別したブラックアダムとJSAとのぶつかり合いが描かれるが、映画ではその因縁がどう描かれているのか注目。また先述したように、JSAと切っても切り離せないのがマルチバースだが、本作からDCユニバースのマルチバース構想も本格化するとのことで、どのような物語として紡がれるのかも気になるところだ。
アメコミ最古のヒーローでありながら、長らくどこか影が薄かったJSA。最近では様々なドラマに登場するなど、しだいに存在感を増しているだけに、本作での活躍を大いに期待したい!
文/サンクレイオ翼