上戸彩&斎藤工、恋してるときってどんな顔?“同志”だからこそできた艶やかな表情
道ならぬ恋に身を焦がした男女。世間を賑わせた『昼顔』が映画となり(6月10日公開)、上戸彩演じる紗和と斎藤工演じる北野がついに再会してしまう。切ないほどにお互いを求め、狂おしいほどの愛とともにきつく抱き合う二人。彼らの表情は、こちらの心拍数も上がるほどに艶やかだ。TVドラマ放送時から世間をざわつかせた本作。衝撃的な内容に挑んだ上戸と斎藤は、お互いを「同志」と表現。本能をさらけ出せた秘密は、この関係性にあると明かす。
ともに結婚していながら、愛し合うようになった紗和と北野。別れを決意したTVドラマ最終回から、3年後を描く本作。紗和は独り身となり、海辺の街で慎ましく暮らしていたが、運命のいたずらか再び北野と巡り合ってしまい、逢瀬を重ねていく。
TVドラマ終了後、上戸は女優復帰がこの映画『昼顔』となった。「出産して育児を1年間やらせていただきました。24時間、びっしりと娘と過ごして、1年後に映画『昼顔』のお話をいただいて。工くんや(伊藤)歩ちゃんがいる現場に行きたい、スクリーンの世界に行きたいと思いました。家族も背中を押してくれて、いろいろなタイミングがバッチリ合ったんです」と導かれるように『昼顔』の世界に飛び込んだ。
斎藤は「他の作品も含めてご一緒させていただいている身としては、上戸さんは時間の過ごし方が“満ちている方”だと思うんです。一分一秒の重み、深みがある方。会うたびに、いつも更新されている感じがします」と上戸の印象を吐露する。
上戸が「先週より?先々週より?」と斎藤の顔を覗き込むと、斎藤も「先週より、先々週よりも。今日より明日」とうなずき、二人で爆笑。なんとも心地よい空気が流れるが、斎藤は「そんななかでも、『昼顔』という作品、紗和という役を通して、彩ちゃんの見たことのない顔をたくさん見させてもらった」と話す。
その言葉通り、夫以外の男性と激しい恋に落ちる紗和役は、上戸自身「新境地を開けた」と語るターニングポイントとなった役柄だ。上戸は「年齢的にもタイミング的にも、イメージ転換としてすごくいい時期にいい作品に巡り会えた。女優としてのお仕事のステップアップになったと思っています」と胸を張る。
その新境地に欠かせなかった存在がもちろん相手役の斎藤で、二人はお互いを「同志」だと語る。斎藤が「変な気を遣わなくていい。ものすごくお仕事がしやすい」と信頼を寄せると、上戸は「私はあまり恋愛ものをやったことがないので、『恋愛をしている自分』というのが一番、客観的に研究できなくて。『恋愛をしている顔ってどう表現するんだろう?』と考えてしまいがち。でも相手が工くんだと、かっこつけなくていいんです」と素直な思いを口にする。
「失敗しちゃいけないとか、緊張することで生じる悪循環とか、そういったことを考えさせないようにしてくれる。いつもなんでも包んでくれるんです」と斎藤が相手だからこそ、「頭を使わなくていい、心だけでいい。芝居と言えば芝居だけれど、芝居じゃない。その時間には嘘がないんです」と『昼顔』に欠かせない“本能的”な芝居を可能にできたという上戸。斎藤も「(伊藤)歩ちゃんも含めて、周波数の合うメンバー。仕事現場という場所なんだけれど、そこが家に帰ってきた感覚がある。そこではかっこつけてもしょうがない」と共鳴するなど、本音をさらけだせる現場のようだ。
信頼のおけるメンバーが集った現場で、大人の女としての表情を見せた上戸。斎藤は改めて、その場に立ち会えた喜びをこう語る。「本作の脚本をいただいた時に、溝口健二監督や成瀬巳喜男監督の作品を思い出したんです。高峰秀子さんが『浮雲』と向き合ったことがキャリアのなかでも大きな経験になったように、それが上戸彩という女優にとってこの作品になるんじゃないかと思った。そういった、いち映画ファンとしての喜びがあります」。
斎藤自身について話が及ぶと、「僕はすでに色物。バラエティタレントですから。僕は賞味期限が昨年くらいで切れています」と自虐コメント。上戸が「年末で火がついたでしょ?」と楽しそうに突っ込むなど、本当に仲睦まじい二人。彼らの紡いだ恋の結末を、ぜひ見届けてほしい。【取材・文/成田おり枝】