吉岡秀隆、Dr.コトーとして「白衣を着るのはこれきり」高橋海人への“継承”を期待！

累計発行部数1200万部を超える山田貴敏の同名漫画を原作に、2003年と2006年に連続ドラマで2シーズンが放送された国民的ドラマの劇場版となる『Dr.コトー診療所』。初日舞台挨拶が12月16日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、吉岡秀隆、柴咲コウ、大塚寧々、高橋海人(King ＆ Prince)、生田絵梨花、富岡涼、泉谷しげる、筧利夫、小林薫、中江功監督が登壇。吉岡が、高橋への“継承”を期待した。

東京から僻地の離島に赴任してきた外科医“Dr.コトー”こと五島健助と、島の人々との交流を通して命の尊さを描いた本作。ドラマ放送から16年の時を経て、劇場版が公開となる。

自身の代表作であり、代表役とも言える“コトー先生”を16年ぶりに演じた吉岡は、「お元気でしたか。16年も待っていただいて本当にありがとうございます」と上映後の会場を見渡して感無量の面持ち。会場に「どうでしたか？」と語りかけ、大きな拍手を浴びた。「本当にもう最後なので。僕が、五島健助として白衣を着ることはこれきり。スクリーンで最後のコトー先生ということで観ていただいて、吉岡は幸せです」と喜びをかみ締めた。

本シリーズの魅力は、「継承」だと語った吉岡。「剛洋くんだったり、判斗先生だったり」と医師を志す青年の原剛洋(富岡)や、研修で離島にやって来た若き医師の織田判斗(高橋)というキャラクター名をあげつつ、「次は海人くんに任せて、“Dr.判斗”の作品をいちお客さんとして観たいなと思っています」と高橋演じる役柄の活躍を期待した。

「背中を見させていただいてきた。いまは荷が重い」と率直な想いを打ち明けた高橋は、「継承ということで、いただいたタスキをちゃんと堂々と掲げて、作品のトップとしていられるような俳優さんになりたい。これからも頑張りたいです」と未来を見つめた。すると吉岡は「本当にすばらしかった」と高橋の演技を大絶賛で、「今回の映画は、判斗先生のシャウトで涙があふれた。あとはお任せします」と信頼を寄せていた。

高橋にとって、本作での経験はかけがえのないものになった様子。高橋は「ラスボスという言葉が一番合う」と名優ぞろいの共演者陣に敬意を表し、「デビューしてからお芝居の仕事をさせていただいて、こんなに早く、こんなにすてきな皆さんに会えるんだと思って。うれしかったんですが、長年続けられてきたこの作品、出来上がったチームのなかに入っていくのにはプレッシャーがありました」と告白。「自分の評価はできないんですが、観てくださった方が少しでもよかったなと言っていただけたら、これから続けるエネルギーになる。優しい言葉をたくさんください」と笑顔を見せていた

メガホンをとった中江監督は、並々ならぬ思い入れを込めた作品の公開を迎え「2割ホッとしていますが、8割は寂しいです」としみじみ。「誰一人欠けても成立しなかった」と俳優陣を称えつつ、「終わったのでやっと言える」と公開まで心に留めていたことがあると明かした。それは高橋への評価だそうで、中江監督は「海人くんにちゃんと話していなかった。すばらしかったです。ブラボー。高橋海人じゃないと、織田判斗はできなかった。すごく良かった」と最上級の賛辞を送った。突然の監督からの賞賛に、高橋は「ドッキリですか!?」と目を丸くしていたが、吉岡も「本当にすばらしかった」と続くと、「ありがとうございます」と感謝を伝えた。

高橋は「アイドルでずっとやっていて、デビューしてからやっと映像の作品に出させていただけて。芸能界って、まだこんなにすてきなところがあるんだと知れて。頑張ってやっていきたいなと思っていたので、その言葉をいただけて手が震える限りです」と手を見つめ、「生きていてよかったです。この作品に出られただけで幸せなのに、ありがとうございます！」と感激しきりだった。

また看護師の西野那美役を演じた生田も、「最初は緊張していたんですが、皆さんが役以外のところでも、気さくにコミュニケーションを取ってくださった。柴咲さんは役でも先輩ですが、素の部分でも、歌手活動と俳優業の活動の考え方なども聞かせてもらった。自分の心のなかから、憧れの先輩だなと感じられた」と先輩と過ごした時間は貴重なものになったという。舞台挨拶のトークからも継承していくことの尊さが伝わるひと時となったが、最後に吉岡は「一番最初に(ロケ地の)与那国島に降り立ってから、20年近く。この作品に関わる人のなかでも、亡くなられた方もいます。でもこうして同じキャスト、同じスタッフで集まることができて、こういう作品が作れたのは奇跡的なこと。出会いに感謝します」とファンにもお礼をし、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

※ 高橋海人の「高」ははしご高が正式表記。