魔法も冒険も忘れて、ラブロマンスを見ている気分?異例の展開に驚く「ウィロー」第5話レビュー
不思議な果実によって、誰もが心に秘めた想いをぶちまける異例の展開に!
前作のファンにとってはうれしいサプライズもある。ウィローとマッドマーティガンに同行した妖精ブラウニーのルール(ケヴィン・ポラック)の登場である。ウィローが閉じ込められた檻のすぐ近くに、ドールハウスのようなブラウニーたちの住居があったのだ。前作で彼らは森で妖精の女王チャンドレアに仕えていたが、あの森がワイルドウッドにつながっていたのだろうか?森に入ったウィローたちは宙に舞う無数の不思議な光を目撃したが、輝く妖精たちが放った光だったのかも。今回ルールはウィローに旅のヒントを与えるのみで同行は断ったが、前回と同じくコメディ俳優のポラックを起用するこだわりにも作り手のリスペクトがあふれている。
おもしろいアイテムもストーリーを盛り上げた。ジェイドが一族であることを祝したボーンリーバーたちが宴でふるまった“正直の果実”がそれ。口にすると、自分の意思とは裏腹に真実を口にしてしまう力を持っている。それを食べたウィローは、彼を尊敬しているグレイドン(トニー・レヴォロリ)に「自分はよくてせいぜい中の上レベルの魔術師」だと告白。キットはエローラ(エリー・バンバー)にこれまでの態度を謝罪し、さらにジェイドに想いを告げようと決意する。
わがままなキットが成長する姿も本作の見どころだが、今回は彼女の心の旅に一つの区切りをつけるエピソードになった。親友同士でありながら、初めて心を通じ合わせたキットとジェイドの距離感は思わず心ときめくほど。ボーマンとスコーピアの恋の炎が再燃したり、グレイドンはエローラへの想いを募らせたりと、今回は人間模様も大きく進展。前作も魔法や冒険だけでなく、ロマンスも重要なファクターだったと思い出させてくれた。
ボーンリーバーの登場で、ひととおり役者がそろった感のある今回。エローラが魔法使いとして着実に成長している姿も描かれており、クライマックスに向けての盛り上がりが楽しみ。前作の魅力を受け継ぎながら、さらに磨きがかかったドラマチックな展開から目が離せない!
文/神武団四郎