仲良くGG賞ノミネート!『イニシェリン島の精霊』は“リアル親友”のコリン・ファレル&ブレンダン・グリーソンに注目
『スリー・ビルボード』(17)のマーティン・マクドナー監督がサーチライト・ピクチャーズと再びタッグを組んだ『イニシェリン島の精霊』(2023年1月27日公開)。親友同士の2人の男の仲違いをきっかけに破滅的で途方もない結末が訪れる本作で、その親友同士を演じたのは、実生活でも親友のコリン・ファレルとブレンダン・グリーソンだ。
本作の舞台はアイルランド西岸沖に浮かぶ架空の離島イニシェリン島。島民全員が顔見知りの小さな島で、パードリックは長年友情を育んできたはずの友人コルムから突然の絶縁を告げられる。動揺を隠せないパードリックは、妹のシボーンや風変わりな隣人のドミニクの力を借りて事態を好転させようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。両者の対立は、想像を絶する事態へと突き進んでいくことに。
パードリック役のファレルといえば20代からハリウッドの最前線を走り続け、近年でも『THE BATMAN -ザ・バットマン-』(22)などの話題作に出演。一方コルム役のグリーソンは「ハリー・ポッター」シリーズをはじめ、味のある名バイプレイヤーとして活躍。共にアイルランドを代表する名優と呼ぶにふさわしい2人が初共演を果たしたのは、マクドナー監督の初長編監督作『ヒットマンズ・レクイエム』(08)。同作で2人は揃って第66回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネートされ、ファレルは見事に受賞を果たした。
グリーソンはファレルについて「人としてのたたずまいがすばらしい。私は彼を親友だと思っています。直感力があって誠実。とてもあけっぴろげで映画の演技でもそのままだ」と人間性と演技力を称え、ファレルも「ブレンダンは活動的で積極的で聡明で誠実で、たくましく繊細なところもあり、本当に色々な顔を見せる。感情の振れ幅の大きさは驚異的だ」と絶賛。お互いにリスペクトし合う両者の関係は作品にも良い影響を与えており、本作で製作を務めたグレアム・ブロードベンドは「一目見ただけで2人の歴史を感じることができる。付き合いが長いことがわかるだけに、物語の悲しみは増す」と太鼓判。
マクドナー監督からの出演オファーに快諾し、当て書きされた役柄に挑んだ2人。第80回ゴールデン・グローブ賞ではファレルが主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)に、グリーソンが助演男優賞にと、またもや2人そろってノミネート。第95回アカデミー賞の前哨戦では共に善戦を繰り広げており、映画界最高の栄誉の舞台でも共演する可能性は充分。劇中での2人の息の合った掛け合いに期待しながら、本作から届けられる続報に注目していきたい。
文/久保田 和馬