滝沢秀明の身体能力とストイックさに驚き!清水崇監督が明かす“こどもつかい”ができるまで
清水崇監督が滝沢秀明を主演に迎えて描く、完全オリジナルのホラー映画『こどもつかい』(6月17日公開)。映画初主演となる滝沢が、子どもの怨念を操る謎の男“こどもつかい”役にチャレンジした。特殊メイクを施したミステリアスなビジュアルも目を引くが、一体このインパクト大のキャラクター“こどもつかい”はどのように出来上がったのか。清水監督を直撃すると、滝沢のストイックなプロ魂が明らかとなった。
郊外で連続不審死事件が発生。新聞記者の駿也(有岡大貴)が事件の真相を追ううちに、謎の男“こどもつかい”の恐怖に巻き込まれていく姿を描く。“こどもつかい”は子どもの霊を操り、悪い大人たちの命を奪っていくが、着想のきっかけは童話「ハーメルンの笛吹き男」なのだとか。「ファンタジックで童話的な要素を現代に持ち込みたい。なかでも『ハーメルンの笛吹き男』の話って、実はとても怖い。あの話をモチーフに描きたいと思ったんです」。
清水監督を何よりもワクワクとさせたのが滝沢の存在だ。「滝沢さんは映画の主演は初めてで、それを僕がやらせてもらえるなんて光栄でした。しかも滝沢さん本人からも『僕を料理してください』という姿勢が感じられたので、『誰も見たことのないタッキーを見せたい』と思いました。こんな魅力的な企画はないですよね」と滝沢のイメージを覆すプロジェクトに、興奮したそう。
行動も思考も予測不可能な“こどもつかい”の正体は、謎に満ちている。鍵となるのは、清水監督の「『大人と子どもの間には何があるんだろう』というのが、僕の描きたいテーマのひとつかもしれない」との言葉だ。
「子どもの頃って、親に叱られてもワケがわからない。でも段々と『パパやママは何を言ってるんだ』と反抗心のようなものが生まれてくる。さらにもっと大人になると、電車で泣いている子どもがいたら、『親、注意しろよ』と思うこともあるわけで。自分が子どもだった時の気持ちをすっかり忘れてしまっているんですよね。子どもが大人になるまでの間には一体、何があるんだろうとすごく不思議に思ったんです。その不思議さ、ミステリアス性を同居させた存在を作りたいと思いました」と幼児性と大人らしさが共存したのが、“こどもつかい”だと話す。
“こどもつかい”のイメージは、滝沢と触れ合うなかでどんどん膨らんでいった。「滝沢さんにお会いすると、クールでかっこいいだけじゃなくて、お茶目な一面があるんです。滝沢さんの屈託のないキュートな笑顔も使いたいなと思いました。滝沢さんは楽しみながら、本当に色々なことをやってくれました。でもやりすぎると謎めいた部分がなくなってしまうので、これがとても難しくて。紳士的な態度をしているかと思いきや、急に子どもっぽくなったりというのが、『なんだコイツ、気味が悪いな』と感じるような存在。そのバランスに苦労しました」。
滝沢も様々な提案をしてくれたそうで、「本人もノッてやってくれたので、すごく楽しかった」と滝沢とのタッグに充実の表情を見せる。とりわけ滝沢の力を感じたのが、「飲み込みの早さ」だという。“こどもつかい”の動きは、道化師(クラウン)の要素を組み込むこととなったが、「プロのクラウンの方に指導をしていただいたんですが、滝沢さんはものすごく飲み込みが早い。“こどもつかい”の動きに関しては現場でもかなり手探りで臨みました。感情的なセリフや動き、その上、重い衣装を着てのワイヤーワーク、そこに対応していく身体能力も素晴らしい」と舌を巻く。
羽のようなマント、細やかな装飾が施された“こどもつかい”の衣装は「最初は寺山修司の世界観から発想した」と清水監督。「イメージするうちに、どんどん重量オーバーしていって(笑)。夏の暑いさかりにこの格好をするのは本当に大変だったと思います。滝沢さんは、嫌な顔ひとつせずに演じきってくれました」。滝沢の持ち前の美貌もミステリアスさを増幅。見たことのない滝沢秀明。そして“こどもつかい”の恐怖と正体をぜひ、劇場で確かめてみては。【取材・文/成田おり枝】