「自分ならどうする?」フランソワ・オゾン監督が“安楽死”について語る『すべてうまくいきますように』インタビュー映像が解禁
『彼は秘密の女ともだち』(14)や『Summer of 85』(20)のフランソワ・オゾン監督が、ソフィー・マルソーと初タッグを組んだ『すべてうまくいきますように』(公開中)。このたび本作の公開を記念して、オゾン監督のインタビュー映像が解禁された。
小説家のエマニュエル(マルソー)は、85歳の父アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れたという報せを受け病院へと駆けつける。意識を取り戻したアンドレは、身体の自由がきかないという現実が受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいとエマニュエルに頼む。治療の甲斐もあって日に日に回復の兆しを見せるアンドレだったが、彼は安楽死への意思を曲げず、エマニュエルは戸惑い葛藤しながらも真正面から向き合おうとする。
解禁された映像のなかでオゾン監督は、『まぼろし』(00)や『スイミングプール』(03)などで共同脚本を手掛け、親しい友人でもあった原作者のエマニュエル・ベルンエイムについて語っている。「本人から映画化を打診されたが正直に言うと当時は乗り気ではありませんでした」と明かすオゾン監督。しかしベルンエイムは2017年に61歳の若さで死去。彼女の死をきっかけに考えが変わったことを振り返った。
さらに劇中で描かれる“安楽死”というテーマについて「善悪は判断しないから観客が自由に考えればいい。結局のところ、映画は理解する手助けにすぎません。私は機会を提供するだけです。強い感情と複雑な感動を共有して、各自が自分で考える機会にしてほしい。“自分ならどうする?”とね」と語る。これまでさまざまな“死”を描いてきたオゾン監督の集大成とも呼ぶべき本作を通して、いまヨーロッパなどで大きな課題となっている“安楽死”について考えをめぐらせてみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬