シャマランvsレジェンド女優vs『アバター』!北米興収ランキングは熾烈な三つ巴に
先週末(2月3日から5日)の北米興収ランキング。昨年末から7週連続で首位に君臨してきた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(日本公開中)の牙城を崩したのは、大方の予想通りM.ナイト・シャマラン監督の最新作『ノック 終末の訪問者』(4月7日日本公開)。しかしながら、上位3作品が想像以上の激戦を繰り広げる結果となった。
『ノック 終末の訪問者』の週末3日間の興収は1412万ドル。この数字は、コロナ禍の影響が色濃く残っていた2021年9月に公開されたシャマラン監督の前作『オールド』のオープニング興収1685万ドルを下回り、シャマラン作品としては『シックス・センス』(99)でのブレイク以降では最も低いオープニング成績となっている。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は『シックス・センス』や『スプリット』(16)、『サイン』(02)、『アンブレイカブル』(00)に次ぐ68%と決して悪くなく、観客からの好意的評価の割合も65%とまずまず。また製作費は2000万ドルなので前作より微増している。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を破った作品として箔がついたとはいえ、興行的にはもうひと伸び欲しいところだろう。
そんな『ノック 終末の訪問者』を予想外に苦しめたのは、2位にランクインした『80 for Brady』というコメディ映画。リリー・トムリンとジェーン・フォンダ、リタ・モレノ、サリー・フィールドというレジェンド級女優4人が顔を揃え、アメフト界のスターであるトム・ブレイディの応援のためにスーパーボウルを見に行こうとする珍道中が描かれる。
初日から3日間の興行収入は1270万ドルで、日曜日のデイリー興収では堂々1位。平日に入ってからも好調ぶりは衰えることなく、火曜日には累計興収で『ノック 終末の訪問者』を上回ることに成功。劇中にも登場するブレイディ本人が、本作の公開直前に現役引退を発表したことが興収アップの後押しになったとみられている。ちなみにこちらは「ロッテン・トマト」の批評家からの好意的評価は62%だが、観客からの好意的評価は90%とすこぶる高く、次週以降の持続力にも期待できる。
そんな2作に次ぐ3位となった『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』だが、3日間興収は1133万ドルと大きくは負けていない。前週比71%を維持し、引き続き全世界と北米両方の歴代興収ランキングの上位塗り替えに向けて着々と興収を積み上げているまっただなか。現在はまだ北米歴代10位、全世界歴代4位で、どちらにおいても同じジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』(97)を射程圏内に収めている。
ところが次週末には『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』(日本公開中)が封切られ、その興収は『タイタニック』のデータに上乗せされることになる。11年前の3Dリバイバル公開の際には北米興収5000万ドル、全世界興収3億5000万ドル以上を記録している『タイタニック』。キャメロン対キャメロンの25年越しの対決はおもしろいものになりそうだ。
そしてBTSのコンサートを記録したドキュメンタリー映画『BTS: Yet To Come in Cinemas』(日本公開中)は、週末3日間で興収500万ドル以上を記録する見込みで、初日からの累計興収は800万ドルを超えるとのこと。暫定値でのランキングでは4位となっていたが、実際は初登場5位。いずれにせよ、コンサートの記録映画としては見事な滑りだしといえよう。
文/久保田 和馬