あの名優も惚れ込んだ!心配性なお父さんの変装キャラが強烈すぎる
父と娘の関係を描く映画は数あれど、ここまで奇怪でぶっとんだパパキャラはそうそういない。ドイツ映画『ありがとう、トニ・エルドマン』(6月24日公開)は、娘を見守ろうとする父親が、まさかの奇想天外な変装を繰り広げる、おかしくも人情味あふれる家族ドラマだ。
バリバリのキャリアウーマンの娘・イネス(サンドラ・ヒューラー)の元に、悪ふざけが大好きな元教師の父・ヴィンフリート(ペーター・シモニシェック)が突然遊びに来る。生き馬の目を抜くビジネス界で仕事に没頭しすぎる娘を心配するパパは、娘の行く先々へと神出鬼没的に現れ、なんやかんやと鼻を突っ込む。しかも、マニアックなセンスで変装して別人になりきりながら…。
お得意の別人キャラ、トニ・エルドマン氏の出で立ちは、ダサいスーツにうさんくさい長髪カツラ+出っ歯の入れ歯。職業は「人生コンサルタント」だったり「ドイツ大使」だったりといいかげんで、パーティ会場では浮きまくり。ブーブークッション、手錠など、小学生のようなイタズラ小道具を駆使し、独特のおやじギャグを展開する。
娘にうっとおしがられようが、スパゲッティを投げつけられようが、パンクな破壊力と不意打ちで我が道を行く。娘の周囲は困惑ぎみだが、なぜか憎めないエルドマン。そして、最後に登場する謎の毛むくじゃらの怪物の正体とは…?
困ったパパを迷惑がる娘だが、それでも、時おりポロリとこぼす父の真実味のある言葉に、心を揺さぶられていく。全く噛み合わないのに、なぜかさよならしたあと涙が出てしまう、そんな父と娘の普遍的な関係には共感必至。そして、泣かせるだけではない、ラストのお父さんの深いセリフに人生を考えさせられるのだ。
世界中で40以上の賞を受賞した本作は、ジャック・ニコルソンが名乗りを上げ、自らが父親役を演じるハリウッド・リメイクもすでに決定している。ユーモアとパンチと、独創性と感動に満ちたこのチャーミングな人生賛歌を、ぜひ劇場で楽しんで!【トライワークス】