【第95回アカデミー賞】主演男優賞は、272キロもの巨漢を演じた『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーが初受賞
現地時間3月12日(日本時間3月13日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第95回アカデミー賞授賞式。主演男優賞は、272キロもの巨漢チャーリーになり切り、圧倒的存在感を見せつけた『ザ・ホエール』(4月7日公開)のブレンダン・フレイザーが初ノミネートにして初受賞を果たした。
フレイザーが演じたのは、最愛のボーイフレンドを亡くしたショックで現実逃避し、過食を繰り返してきた40代の男チャーリー。心不全の症状が悪化し、死期が近いことを悟ったチャーリーは、自分のなかで押し込めていたトラウマと向き合うことを決意。8年前に別れた元妻と娘に会い、絆を取り戻そうと試みる。メガホンをとったのは、『ブラック・スワン』(10)や『レスラー』(08)などで知られる鬼才ダーレン・アロノフスキー監督だ。
フレイザーといえば、「ハムナプトラ」シリーズなどで知られる人気俳優だったが、プライベートでの不幸が重なり、ハリウッドの表舞台から長らく遠ざかっていたが、オスカー受賞という奇跡の大復活を遂げた。
フレイザーは「信じられせん。心から感謝します。A24は大胆な作品を手掛けてくれた。ダーレン(監督)ありがとう。また、脚本も私たちを照らしてくれた。皆さんのおかげです。本当に“ホエール”のような大きな心で接してくれました。僕は30年前にこの世界に入りましたが、当時はあまり感謝してませんでした。本当に評価していただき感謝します。まるでダイビングを体験しているよう。皆さんが上のほうからきちんと観てくださいました。ありがとうございます」と感謝した。
前哨戦では、ブロードキャスト映画批評家協会賞、全米俳優組合賞(SAG)、サテライト賞(ドラマ部門の主演男優賞)などを受賞し、高い評価を受けていたフレイザー。また、今回のアカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞にも輝いた『ザ・ホエール』。4時間超の特殊メイクをほどこし、肉体的にも精神的に身を削るような熱演を魅せたフレイザーの魂を込めた熱演を、ぜひスクリーンで観ていただきたい。
文/山崎伸子