「ハムナプトラ」俳優が魂のカムバック!ブレンダン・フレイザーが主演作で見せた“すごみ”の源は?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「ハムナプトラ」俳優が魂のカムバック!ブレンダン・フレイザーが主演作で見せた“すごみ”の源は?

コラム

「ハムナプトラ」俳優が魂のカムバック!ブレンダン・フレイザーが主演作で見せた“すごみ”の源は?

日本時間の3月13日(月)に発表される第95回アカデミー賞で、体重272kgの男を演じた『ザ・ホエール』(4月7日公開)のブレンダン・フレイザーが主演男優賞にノミネートされている。フレイザーの名を聞いて郷愁を覚えるのは、1990年代後半~2000年代に映画を観ていた世代だろう。当時フレイザーはアクションを中心にメジャー大作で引っ張りだこの人気スターだった。彗星のごとく登場し次々に主演作が公開されたが、数年後には失速。2010年代に入ると活躍の場は低予算映画やテレビに移り、ここしばらくは「あの人はいま?」状態になっていた。

ブレンダン・フレイザーが体重272kgの男を演じた『ザ・ホエール』
ブレンダン・フレイザーが体重272kgの男を演じた『ザ・ホエール』[c] 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

そんなフレイザーがカムバック、しかも賞レースにあまり縁のなかった彼がオスカー候補!ドラマチックな復活劇を遂げたフレイザーだが、彼のキャリアを振り返ると『ザ・ホエール』の役柄は彼が歩んだ道のりの集大成に思えてくる。

若手演技派として注目を集め、「ハムナプトラ」シリーズて次世代スターの1人に!

1968年生まれのフレイザーは現在54歳。コーニッシュ芸術大学で演技を学び、リヴァー・フェニックス主演作『恋のドッグファイト』(91)の端役で映画デビューを飾った。現代に蘇った原始人が大騒動を巻き起こすショーン・アスティン主演の『原始のマン』(92)、マット・デイモン、ベン・アフレックら同世代の若手スターと共演した主演作『青春の輝き』(92)で頭角を現し、ターザンをモチーフにしたファミリーエンタテインメント『ジャングル・ジョージ』(97)が大ヒット。異能の映画監督ジェームズ・ホエールの晩年を描いた『ゴッド・アンド・モンスター』(98)の演技も高い評価を獲得し、コメディからアクション、シリアスまでこなす若手演技派として注目を集めていった。

ターザンをモチーフにしたファミリーエンタテインメント『ジャングル・ジョージ』
ターザンをモチーフにしたファミリーエンタテインメント『ジャングル・ジョージ』[c]Everett Collection/AFLO

そんなフレイザーがブレイクしたのが、スペクタクル大作『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(98)だ。3000年前のミイラが現代に蘇るこの作品で、フレイザーは軍人上がりの勇敢な青年リックを演じ、ミイラ軍団相手に二丁拳銃で大活躍を演じた。この時期のアクション映画は、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、メル・ギブソンら重量級スターの大暴れが一段落し、キアヌ・リーヴスやウィル・スミス、トム・クルーズら次世代スターが台頭している状況だった。

【写真を見る】現代に蘇ったミイラとの戦いを描く『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』で人気スターになったブレンダン・フレイザー
【写真を見る】現代に蘇ったミイラとの戦いを描く『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』で人気スターになったブレンダン・フレイザー[c]Everett Collection/AFLO

甘いマスクにがっしりした体つき、人なつこいキャラクターが持ち味のフレイザーもその潮流に乗った1人。『ハムナプトラ』ではコメディ要素を織り交ぜながら冒険野郎を好演し、世界中の映画ファンを魅了した。映画も大ヒットして『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』(01)、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)のほか、スピンオフ『スコーピオン・キング』(02)も製作される人気シリーズに成長した。

甘いマスクにがっしりした体つき、人なつこいキャラクターで瞬く間に人気スターへの道を駆け上がっていったフレイザー
甘いマスクにがっしりした体つき、人なつこいキャラクターで瞬く間に人気スターへの道を駆け上がっていったフレイザー[c]Everett Collection/AFLO

パブリックイメージの定着や心身の不調も重なり、しだいに表舞台から遠ざかってしまい…

その後はセクシーな悪魔と契約した心優しい青年を演じたコメディ『悪いことしましョ!』(00)、人気漫画家がおかしな怪物たちの棲むダーク・タウンに迷い込む『モンキーボーン』(01)、ルーニー・テューンズのメンバーと大冒険を繰り広げる『ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション』(03)など、次々に主演作が公開された。ただしフレイザーの演じた役はどれも彼のパブリックイメージそのままで、鮮度不足の感は否めなかった。アカデミー賞作品賞に輝いた『クラッシュ』(04)など名作枠でも活躍したが、アンサンブルキャストの1人止まり。次のステージへステップアップする機会を得る前に、地底世界の冒険もの『センター・オブ・ジ・アース』(08)や『ハムナプトラ3』など十八番のジャンルでもヒットから見放されていった。

舞台をエジプトから中国に移し、超能力を持つ皇帝のミイラとの戦いを描いた『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』
舞台をエジプトから中国に移し、超能力を持つ皇帝のミイラとの戦いを描いた『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』写真:SPLASH/アフロ

体調面でもトラブルに見舞われた。体当たりのアクションを売りにしていたフレイザーは度重なるケガに悩まされ、テーピングとアイシングは日常茶飯。2000年代半ば頃にはスタジオと病院の往復だったという。2003年にはゴールデン・グローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会の元会長フィリップ・バークからセクハラ行為を受け、元女優の妻アフトン・スミスとは3人の子どもをもうけたが2007年に離婚。母親の死といったプライベートでのトラブルも手伝い心身ともに疲弊し、一時は鬱状態に陥ったという。

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