大泉洋は吉永小百合の前でもボヤいた?初共演『こんにちは、母さん』会見で吉永が真実を証言
山田洋次90本目の監督作となる映画『こんにちは、母さん』(9月1日公開)の完成報告会見が3月15日、都内で行われ、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督が登壇。恋するおばあさん役を演じた吉永は「ある日、監督に呼ばれて『おばあさんというのはどうですか?』と言われて、その時は『もちろんです!』と言ってしまったけれど、あとで『私早まったかしら?』と思ったりして」とチャーミングな微笑を浮かべた。
劇作家・永井愛による同名戯曲を、舞台を現代に移して映画化。東京の下町で生きる家族の悲喜こもごもを等身大で描いている。吉永は「私の年代はみんなおばあちゃんになって、たまたま私には子どもがいなかっただけ。なので『そうなんだ』と自分に言い聞かせて演じました」とおばあさん役を熱演したことをアピール。孫娘を演じた永野に対しては「舞ちゃん(永野)が本当に素敵で、一緒に幸せな時を過ごすことが出来ました。おばあちゃんをやってよかったと思います」と振り返った。
山田組初参加の大泉は「山田組の撮影は朝9時に始まって夕方5時に終わるので素晴らしい。次の作品に入ったときに、娘から『山田組はよかったね…』と言われたくらいです」と笑いを交えて報告。山田監督は撮影中に過去の映画の話などをしてくれたそうで「そのすべてが自分の宝物のようで、撮影中の会話の全部を録音しておきたいくらい愛おしい時間でした」と撮影期間を回想した。
今回、大泉は吉永の息子役を演じたが、初共演の吉永については「小百合さんと過ごした時間は素敵で、恋をする小百合さんが本当に可愛らしく、息子としては恋する母親を見るのは複雑な心境だけれど、演じている小百合さんを見ている分にはとても素敵でした」と喜色満面。撮影前に吉永から子ども時代の写真を求められたそうで「そのような気持ちで僕との役を作ろうと思っていただいている。小百合さんが母親のように思えた」と吉永の役作り方法に関心をするも「試写を観たら、その写真が出ちゃっていた。僕の親もビックリするはず」と劇中使用に驚いていた。吉永は大泉から借りた子どもの頃の写真について「お風呂上がりのお写真がとっても可愛らしくて…。そこで『私の息子だ!』と思いました」と微笑んでいた。
ボヤき節でお馴染みの大泉だが、本作においては「一切ボヤいていません。ボヤくなんてとんでもない!」と否定するも、宮藤から「ずっとボヤいていましたけどね?」とのタレコミが。しかし吉永から「ボヤきは一度も聞いていません」との援護射撃を受けて、大泉は「いませんよ、日本で吉永さんを前にボヤくようなヤツは…あぶねえ」とホッとしていた。
一方、吉永の孫娘を演じた永野は、吉永との初共演に「私でいいのですか?と思ったけれど、なかなかない光栄なチャンス。山田組だからこそ叶えてもらえた」と感激しながら「吉永さんは背中が温かくて可愛らしくて。いつか私もこんな女優さんになりたいと密かに思いながら過ごしていました」とリスペクト。すると吉永は永野について「8歳から子役として活躍されていると聞いて、私は11歳からだったから…。私にとっては先輩で圧倒されています」と讃えていた。
現在91歳の山田監督は、90本目という数字について問われると「数は自慢できることではないし、巨匠は作品を沢山作っていない。90本も作ったということは、駄作もあるということなので、威張れたことではない。90本作っておいてまだこの程度の映画かと言われるのではないか、そんな気持ちもある。沢山作ったことは事実だが、そこは考えずに、いつも初心者のような気持ちで作ろうという風にいます」と自身のスタンスを口にしていた。
取材・文/石井隼人