シネマコン会場を熱狂させた、クリストファー・ノーラン最新作『Oppenheimer』「私たちの住む世界を変えてしまった最も重要な人物のドラマ」
現地時間4月24日から27日にかけて米ラスベガスで行われている、劇場経営者やメディア向けのコンベンション「CinemaCon 2023」を現地からレポート。ユニバーサル・ピクチャーズのスタジオプレゼンテーションにクリストファー・ノーランが登壇し、新作『Oppenheimer』について「準備している作品について話すのはいつでも緊張しますが、このステージに戻ってこられてうれしい」と感謝。その後、フッテージ映像が公開されると、会場は大喝采に包まれた。
ユニバーサル・ピクチャーズのスタジオプレゼンテーションでは『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(公開中)の全世界興行業績が近日中に10億ドルの大台に乗る好調ぶりに触れ、ミュージカル映画『Wicked』やイルミネーション最新作『Migration』、今夏と2025年に最終章が公開となる「ワイルド・スピード」シリーズについても紹介。
『Oppenheimer』は、ピューリッツァー賞に輝くノンフィクション「オッペンハイマー『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を原作に、第二次世界大戦中に原子爆弾を開発・製造する“マンハッタン計画”を率いながらも、後に水爆の製造に反対するようになる理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの人生を描いていく。
ノーランは「オッペンハイマーは、良くも悪くも私たちの住む世界を変えてしまった最も重要な人物です」と語り、本作のドラマ性について言及。モノクロから始まるフッテージ映像内では、ロバート・ダウニー・Jr.演じる人物がロシアの爆弾製作についてのニュースを報じる。マンハッタン計画に参加したレスリー・グローヴス(マット・デイモン)は、「我々がボタンを押すと、世界を破壊してしまう可能性はないのか?」とオッペンハイマーに問いかける。ノーランは「最初の装置をテストしようとした時の、その瞬間のことを思い浮かべてください。私はこの物語について学ぶなかで、彼らと一緒にあの部屋にいてそれがどのようなものであったかを知りたいと思いました。観客をその物語に連れて行くため、すばらしいキャストとスタッフを集めました」。
常に映画館での鑑賞体験を重んじてきたノーラン監督だが、本作も70mmフィルムのIMAXカメラで撮影されており、「彼の物語は多くの人に観られる必要があり、観客が可能な限り大きなスクリーン、没入できるフォーマットで観てくれることを願います」と語った。
本作は、ノーラン作品6度目の参加となるキリアン・マーフィーを主演に、オッペンハイマーの妻役でエミリー・ブラントらが共演する。
なお、クリストファー・ノーランと妻で『TENET テネット』(20)などでプロデューサーも務めているエマ・トーマスは、シネマコンの映画産業への功労者として「Big Screen Achievement Awards」で「Spirit of Industry Award」を贈呈される予定だ。『Oppenheimer』は7月21日全米公開。
取材・文/編集部