『さよならの朝に約束の花をかざろう』の岡田麿里監督最新作『アリスとテレスのまぼろし工場』9月公開決定
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家で、監督デビュー作『さよならの朝に約束の花をかざろう』(18)で国内外から高い評価を得た岡田麿里の監督第2作となる『アリスとテレスのまぼろし工場』が9月15日(金)から公開されることが決定。このたび、本作の特報、ティザービジュアル、メインキャストが一挙解禁となった。
本作は、『この世界の片隅に』(16)、『劇場版 呪術廻戦 0』(21)、「進撃の巨人 The Final Season」などのスタジオMAPPAがアニメーション制作を務める、岡田監督初のオリジナル劇場アニメーション作品。主人公は、突然起こった製鉄所の爆発事故により全ての出口を失い、時まで止まってしまった町で暮らす中学3年生の菊入正宗。謎めいた同級生の佐上睦実と、野生の狼のような少女、五実という二人との出会いから、菊入は世界の均衡を崩していくことになる。退屈を持て余しながらも睦実や五実と出会ったことをきっかけに変化していく14歳の少年、菊入を榎木淳弥が演じるほか、菊入の同級生である佐上を上田麗奈、謎の少女、五実を久野美咲が演じている。
作品について岡田監督は「少年たちが主人公の本作だが、甘酸っぱい⻘春物とは全力で逆走している、ヒリヒリした⻘春」を描いているとコメント。本作の制作に至った理由の一つとして「自分が子どもの頃に憧れた邦画や劇場アニメの空気を、現代の文法で作ってみたい」という思いを明かし「抱いていた理想そのままに、どこか懐かしい、それでいてちょっと見たことがないような映像になってきている」と手応えをうかがわせている。
今回解禁となった特報映像は、夕焼けが広がる空の下、光が反射する工場風景から始まるもの。14歳で時が止まった世界の退屈さを紛らわせるように、主人公の正宗と同級生の睦実がいらだちをぶつけあっているなか、空がひび割れ、突如少女の泣き声が響き渡り、風が吹き荒れるシーンが続く。なにかの衝動のように映像が加速していくなか、「退屈、根こそぎ吹っ飛んでいっちゃうようなの…見せてあげようか」という謎めいた睦実の声が聞こえ、“恋する衝動が世界を壊す”という意味深なフレーズで映像が終わるという謎に満ちたものとなっている。
あわせて解禁されたティザービジュアルには、光に手をかざす少女の後ろ姿が描かれている。彼女の髪の毛は色濃く、その毛先には空のひび割れが続いており、謎めいた雰囲気を感じさせる一枚。「この少女に近づいてはいけない」という怪しげなコピーも相まって、物語の始まりに期待が高まる仕上がりに。
また、岡田監督が書き下ろした原作小説が6月13日(火)に発売。「あの花」以来約10年ぶりとなる岡田の書き下ろし小説となり、登場人物達の迷いや葛藤、誰かに強く惹かれていく気持ちなど、繊細な心の動きが岡田自身の言葉で綴られている。また、カバーイラストは角川文庫版のみの限定カットで、光が差し込む製鉄所で正宗と睦実が佇む美しいイラストが描かれている。
変化を禁じられた世界ではたしてなにが始まるのだろうか?謎に満ちた本作の続報を楽しみに待ちたい。