実写版『リトル・マーメイド』、全米の観客から『美女と野獣』『アラジン』以上の高評価を獲得
先週末(5月26日から28日)の北米興収ランキングで首位に立ったのは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオに“ルネサンス期”をもたらした1989年制作の人気作を、『イントゥ・ザ・ウッズ』(14)や『メリー・ポピンズ リターンズ』(18)のロブ・マーシャル監督が実写映画化した『リトル・マーメイド』(6月9日日本公開)だ。
『美女と野獣』(17)や『アラジン』(19)、『ライオン・キング』(19)と、ディズニー・ルネサンスの名作を実写化しては、軒並み大成功に導いてきたディズニー。しかしながら『リトル・マーメイド』に関しては、キャスト情報が発表された際に思わぬ賛否両論が巻き起こるなど、なかなか険しい幕開けとなり、追い討ちをかけるようにコロナ禍で撮影が延期に。そうした紆余曲折を経て、ようやく公開を迎えることとなった。
初日から3日間の興収は9557万ドル。これは2023年公開作のオープニング成績としては第4位であり、ほぼ同じ規模で公開され最終興収3億5000万ドルを超えた『アラジン』のオープニング興収9150万ドルを上回る上々な数字。ちなみに月曜日がメモリアル・デーの祝日だったこともあって、公開から4日間で興収1億1881万ドルを記録しており、全世界興収も早々に2億ドルを突破している。
興収的には順調となれば、やはり気になるのは作品評価。近年のディズニーの実写化作品は、いずれも批評面では伸び悩む傾向にある。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は68%と少々控えめで弾けきれなていない様子。それでも観客からの好意的評価の割合は、『美女と野獣』や『アラジン』などを上回る95%と高く、これが今後の興収アップの後押しとなってくれることだろう。
そんな『リトル・マーメイド』を含め、5本の新作がベスト10圏内にランクインをはたすなか、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(日本公開中)は累計興収1億ドルを突破。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(日本公開中)は累計興収3億ドルを突破し、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(日本公開中)は累計興収5億5000万ドルを突破するなど、サマーシーズン前半の主役たちはまだまだ強さを発揮し2位から4位を守り抜く。
それらに次ぐ5位には、『キアヌ』(16)のピーター・アテンチオ監督がメガホンをとったアクションコメディ『The Machine』がランクイン。さらに6位にロバート・デ・ニーロと人気コメディアンのセバスティアン・マニスカルコ共演のコメディ『About My Father』が、7位にジェラルド・バトラー主演のスリラー『Kandahar』、そして8位には『おとなの恋には嘘がある』(13)のニコール・ホロフセナー監督がA24とタッグを組んだ『You Hurt My Feelings』が初登場するなど、祝日前の週末にふさわしく豪華な顔ぶれがそろった印象だ。
文/久保田 和馬