いい人でいればどうにかなる!エミー賞の歴史を塗り替えた名作ドラマ「テッド・ラッソ」が教えてくれるナイスな心意気
生きるうえで大切な現代的なメッセージが満載!
そんな登場人物たちが織りなす人間模様は、テッドが「勝ち負けだけがすべてではない」と監督論を語るように、善良であることの大切さを教えてくれる。
扱われるテーマの一つが、スポーツ界に限らずどんな社会にもある“男らしさ”の有害性。スター選手だった意地から衰えを認めずに虚勢を張るロイの意地、イケてる選手たちのネイトへの悪ノリという名のいじめ、そんなネイトの劣等感が引き起こす過剰な承認欲求…。弱さを見せることができずに、こうあるべきというイメージに囚われた男たちの問題が次々と浮き彫りになっていく。
ゲイの選手が自分を押し殺しながら過ごしていたりと、ホモソーシャルな社会がもたらす様々な歪みが、キャラクターたちが他人を思いやるいい人となることにより、遠回りをしながら少しずつ時間をかけて改善されていく。時に事態が悪化をすることもあるが、そんな時も決して断罪せず、挽回の機会を与えて見守るテッド。道を踏み外しても誠実でいればやり直すことができる…そんな優しいメッセージが込められている。
一方、女性たちはそんな男たちの身勝手さに振り回され、傷つけられながらも、団結し、たくましく自分の道を進んでいく。元夫への復讐にばかり囚われていたレベッカや“選手の彼女”としてばかり見られてきたキーリーが目標のために人生を突き進む姿は、ありのままの自分を愛し、自分の人生を謳歌することのすばらしさを教えてくれる。
加えて、健全そうなテッドも表では明るく振る舞う一方で、アメリカにいる妻との間には問題があり、心の奥底には闇を抱えている。弱さを吐き出さないことの危うさが描かれており、軽視されがちなメンタルヘルスの重要性も語られる。他人にはおおらかだが、自分の問題には頑固なテッドがついに心と向き合っていく成長のドラマがまたなんとも泣かせるのだ。
サポーターまでいい人ばかりで、ほとんどファンタジーとも言える「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」。しかし、なにかと”こうあるべき”という押し付けや正しさが幅をきかせている時代だからこそ、少し甘かろうが、人に優しく、善良でいることの大切さを教えてくれるこのドラマは最高なのだ。
文/サンクレイオ翼