『尾かしら付き。』で映画初主演の小西詠斗&大平采佳「たくさんキュンキュンして」とメッセージ!木村昴は1年前の“わがままボディ”をアピール
「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」特別上映作品『尾かしら付き。』の完成披露舞台挨拶が7月22日にSKIPシティ 彩の国 ビジュアルプラザで開催され、小西詠斗、大平采佳、佐野岳、武田梨奈、木村昴、新内眞衣、主題歌・劇中歌を担当したHilcrhyme、真田幹也監督が登壇した。
佐原ミズの同名漫画を実写映画化した本作。お尻に豚のようなしっぽが生えているという秘密を持つ少年の宇津見快成(小西)と、そんな彼をもっと知りたいと思い、寄り添おうとする少女、樋山那智(大平)が出会い、傷つきながらも心を通わせ合っていく姿を描く。“若手映像クリエイターの登竜門”として知られる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」の特別上映作品として、この日ワールドプレミアが行われた。
小西と大平は、本作で映画初主演。木村も本作で実写の商業映画には初出演、新内もスクリーンデビューを果たすなど、この日のメンバーは“初づくし”となった。小西は「ついに皆様にお届けできる日が来て、心からうれしく思っています」と感無量の面持ちを見せ、スクリーンデビューにして初主演を務めた大平は「映画初主演で初出演でもあるので、ほぼ皆さん初めましてなんじゃないかと思います。こうして皆様にお届けできる日を迎えられて、光栄に思っています」と挨拶して、大きな拍手を浴びていた。
日焼けサロンの店員で、快成と那智を励ます存在となる葛城楓太役を演じた木村は「今日は『俳優、木村です』と言っていいんですよね。今日は皆様に僕の“スクリーンバージン”を奪っていただけるということで光栄です」とニンマリ。会場から笑いが起きるなか、撮影から1年弱が経っていることもあり「約1年前の木村をご覧いただく。映画を観ていただいたらわかると思います。(身体が)パンパンです。撮影が終わってから激ヤセしたので、スクリーンに映っている楓太はだいぶわがままボディです。そこも楽しんでご覧いただけたら」とアピールし、さらなる笑いを誘っていた。また「私も言わせていいですか?」と切り出した新内も、「女優、新内眞衣です」と笑顔で挨拶。「右も左もわからない感じでした。皆さんに支えていただいて、どうにかやり切ることができたなと思っています。この作品が初めてでよかったなと思っています」と感謝していた。
大人になった快成を演じた佐野と、大人になった那智を演じた武田は、コミュニケーションを取りながら撮影に臨んだという。佐野は「(小西と大平が演じる)学生パートを見学させてもらった」そうで、「武田さんとは、『エチュードをやってみる?』と話して、やってみた」と述懐。続けて武田が「現場で初めましてだったので、『どうしよう』と思っていたんですが、佐野さんが『エチュードとして、那智と快成として会話してみよう』と言ってくださった」と明かすと、真田監督は「そんなことがあったんですね!今日初めて聞いた」と驚きながら、「アドリブでも、(2人から)自由にいろいろな言葉が出てきた。2人のコンビが出来あがっていたのは、そういうことだったんですね」と感服していた。
しっぽが生えている少年・快成の葛藤を通して、“みんなと違う”ことにどのように向き合っていくのかというテーマが描かれる本作。それぞれ自らを照らし合わせながら考えることも多かった様子で、小西は「コンプレックスというのは、誰にでもあるものだと思う。もちろん、僕にもある。快成には那智がいて、那智は快成のコンプレックスも含めて受け入れてくれた。そういう人がいるのは、とてもうらやましいこと。僕も那智のような人間になりたいし、2人を応援できるような人間になりたいなと思いました」としみじみ。「たくさんキュンキュンして、たくさん共感して、観たあとに背中を押してもらえるような、明るい気持ちになれるような映画です」と呼びかけた。
大平は「自分が出会ったことにないものに出会うと、『認めたくない』と感じてしまったりすることがあると思います。でもそこで勇気を持って一歩踏み出してみると、自分の知らなかった世界、新しい世界が見えるんじゃないかと思っています」と想いを巡らせ、「そういう勇気を出そうと思える映画。観ていただいた方も、きっと勇気をもらえるはずです」と願いを込めた。
劇場音楽として3曲を書き下ろしたHilcrhymeは、「音楽監修という形で関わらせていただきました。少年少女時代の快成と那智、大人になってからの快成と那智、そしてエンドで流れる曲。それぞれテーマが違う曲になっていますので、映像と共に楽しんでいただけたら」と語りつつ、「感無量です。一人でも多くの人に届けばいいなと思っています」と映画の完成を喜ぶ。木村が、Hilcrhymeの出演シーンがあってもよかったのではと話すと、真田監督が「Hilcrhymeさんに出てもらいたいなという想いもあった」と告白。しかしながらHilcrhymeは「1回だけ演技をしたことがあるんですが、死ぬほど下手くそでした」と打ち明け、周囲を笑わせていた。
登壇者陣の息の合ったトークから、改めてチームワークの良さを噛み締めていた真田監督は、「この作品は、多様性が尊重される時代に、とても有意義な作品だと思っています。特に個性を曝け出すことに臆病になっている人に届けばいいなと思っています」とこれから映画を楽しむ観客に語りかけていた。
取材・文/成田おり枝