「日本ホラー映画大賞」受賞監督が清水崇監督に宣言!「僕らでJホラーのニューウェーブを起こしていけたら」
日本のホラー映画界の未来を背負って立つ新たな才能を発掘・育成していくことを目指し、最新作『ミンナのウタ』(8月11日公開)も控える清水崇監督が選考委員長を務める「日本ホラー映画大賞」。大賞受賞者には商業映画監督デビューが確約され、すでに第1回と第2回で大賞を受賞した監督たちは、夢に向かって一歩ずつ前進している。
第1回の大賞受賞作となった下津優太監督の『みなに幸あれ』(2024年公開)は、清水監督のプロデュースのもとで長編リメイク版が制作され、先日プチョン国際ファンタスティック映画祭でメリエス国際映画祭連盟(MIFF)アジアンワード・ベストアジアフィルム(最優秀アジア映画賞)を受賞。2024年に予定されている劇場公開に向け、順風満帆のスタートを切った。そして今年1月に授賞式が行われた第2回では、近藤亮太監督の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が大賞を受賞。近藤監督は現在、同作を長編リメイクした商業デビュー作を準備中だ。
そんななかEJアニメシアター新宿では、これまでの「日本ホラー映画大賞」で大賞や審査員特別賞など各賞に輝いた全受賞作を一挙に上映する「日本ホラー映画大賞」受賞作上映会が開催中。第1回の受賞作全7作品の上映会がスタートした8月1日、「株式会社闇賞」を受賞した『招待』の三重野広帆監督と同作に出演した櫻井麻七と細井学、「豆魚雷賞」を受賞した『私にふれたもの』の藤岡晋介監督が舞台挨拶に登壇。さらに選考委員長の清水崇監督も激励に駆けつけた。
『招待』の三重野広帆監督がこだわった、リアクションの演出術とは?
『NEW GENERATION/新世代』で第2回の「ニューホープ賞」にも輝いた三重野監督。通報を受けて事件現場を訪れた警察官2人に迫る恐怖を描いた『招待』のコンセプトを訊かれると「クライマックスの、カット数で言えば最後から5番目くらいに使ったカットが撮りたいというところから、それを撮るためにはどうしたらいいのだろうかと考えて作っていった作品です」と制作のきっかけを説明。
撮影は2021年の夏頃に2日かけて行なったとのことで、他の受賞作品の多くが1日で撮影を済ませていることから「13分ぐらいの尺を贅沢に2日間で撮りました」と強調。そして「すべて事前に絵コンテやVコンテを作り、事前にロケハンをしたタイミングでアングルも決めて作りました。作品を観ていただけたら、それが伝わるんじゃないかと思います」と入念な準備を経て作りあげた作品に自信をのぞかせた。
一方、新人警官役を演じた櫻井はホラー作品の撮影自体が初めてだったとのことで、リアクションの演技に苦労したことを告白。すると三重野監督は「学生時代に作った作品にも出ていただいた(先輩警官役の)細井さんには事前にこうしてくれと伝えずにやっていたのですが、櫻井さんにはテレビ番組で芸人さんが恐怖や緊張で過呼吸になっている動画を見せながら、“本物っぽい”とはどういうことなのかと話し合っていました」と振り返る。
それを聞いた清水監督は「たしかにホラー映画では怖がらせる側ばかりに気を遣う監督がいますが、僕はリアクションこそ大事だと考えています。僕も以前、テレビでやっていた本当に怖い体験をしたと語っている人の映像をキャストの方に見せて、『本当に怖かった人とはこういうことです』とやったことがあるのですごくわかります」と三重野監督の演出術に賛同。そして「三重野監督は普段CMをやられている方なので、プレゼン能力があって準備も周到なのでしょうね」と高く評価していた。