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御年80歳、デヴィッド・クローネンバーグが振り返る“原体験”「サナギと成虫は同一の存在なのか考えていた」

インタビュー

御年80歳、デヴィッド・クローネンバーグが振り返る“原体験”「サナギと成虫は同一の存在なのか考えていた」

「ヴィゴ・モーテンセンはプロフェッショナル同士というだけでなく、一緒にいて楽しい友人」

【写真を見る】『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』撮影現場より、「仲の良い友人」だというクローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセン
【写真を見る】『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』撮影現場より、「仲の良い友人」だというクローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセン[c]2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A. [c]Serendipity Point Films 2021

ソールを演じるモーテンセンとのタッグは、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』、『イースタン・プロミス』(07)、『危険なメソッド』(11)に続き4度目となる。さらに、モーテンセンの初監督作『フォーリング 50年間の想い出』(20)には、クローネンバーグが肛門科医の役でカメオ出演。2018年の第43回トロント国際映画祭で『クラッシュ』の4Kレストア版が上映された際には、モーテンセンがプレゼンターとしてステージに登壇し、クローネンバーグとのトークセッションも行っている。こういった2人の深い関係性について、クローネンバーグは「ヴィゴ・モーテンセンとは真なる同僚であり、コラボレーターです」と説明する。

「みなさんもご存知の通り、ヴィゴは非常に多彩な人物です。詩人であり、作家であり、ミュージシャンであり、出版活動もしていて、役者でもある。そういった方ですから、一つの映画の中で役を演じるにしても、いろんな考え、いろんな味をもたらしてくれます。そのことを私は、とても歓迎しています。彼は頭がとてもよく、撮影時にはいろいろと質問をしてくれます。それは自身の役だけでなく、作品全体についても同様です。監督によっては、それを脅威に感じることもありますが、私はそういうところが大好きですね。非常にすばらしいコラボレーションが出来ていますし、監督として大きな刺激を受けています。あと、ユーモアの感覚もすごく似ていて、プロフェッショナル同士というだけでなく、一緒にいて楽しい仲の良い友人だと思っています」。

“加速進化症候群”のアーティスト、ソール・テンサー
“加速進化症候群”のアーティスト、ソール・テンサー[c]2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A. [c]Serendipity Point Films 2021

「美術セットは、まるで自動車やコンピューターを設計しているみたいにデティールを追求していきます」

ソールたちがパフォーマンスに使用する“サーク解剖モジュール”や食事など生活面のサポートをしてくれる“ライフ・フォーム・ウェア”といったガジェットも観る者の興味を惹く。これらの禍々しく、未来的かつ生物的なアイテムの数々は、『ファイヤーボール』(79)以来、ほぼすべてのクローネンバーグ作品に美術で参加しているプロダクションデザイナーのキャロル・スピアによるもの。スピアとのコラボレーションについては以下のように語っている。


「解剖装置のような大掛かりなアイテムを制作する際には、大勢の手が加わってチームを編成します。そのなかでキャロルが、グラフィックデザイナーと相談してヴィジュアルを決めたり、実際にモデルを組み立てるアーティストと試作品を作ったりしながら完成品を目指します。このあたりの話し合いはとても細かいです。サーク解剖モジュールにしても、蓋はどうやって開くのか?パカっと開くのか?スライドして開くのか?といった具合でデティールをとことん追求していきます。まるで自動車やコンピューターを設計しているみたいですね。テクスチャーもすごく大事で、手触りや出で立ちにもこだわります。今回もデザインについてキャロルから、『脚本上では亀の甲羅のようにとか、昆虫の殻のようにとか書いてあるけど、それでいいのね?』という風に何度も確認してくれました。このように、彼女とは様々な試行錯誤を繰り返していますね」。

新しい臓器を政府の秘密機関「臓器登録所」に申請するソールたち
新しい臓器を政府の秘密機関「臓器登録所」に申請するソールたち[c]2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A. [c]Serendipity Point Films 2021
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