名優・菅原文太の軌跡をたどる…『仁義なき戦い』から幻の親子共演作まで

コラム

名優・菅原文太の軌跡をたどる…『仁義なき戦い』から幻の親子共演作まで

親子共演に宮崎駿作品まで、晩年の“いぶし銀スター"として輝き

長らく映画俳優としての活躍が中心の菅原だったが、1980年代以降はテレビドラマにも多数出演するようになる。1980年に放送されたNHKの大河ドラマ「獅子の時代」で主演を務め、1982年にはTBSドラマ版「幸福の黄色いハンカチ」では、映画版で高倉健が演じていた島勇作役を熱演。映画作品に主演することは徐々に少なくなるも、市川崑監督作品の常連になるなど幅広い活躍を見せる。1990年ごろからは、ビデオリリースを主にした映像作品「Vシネマ」にも出演。「東映Vシネマ」の2周年記念作品である『ビッグボス BIG BOSS』(92)では、長男の菅原加織との親子共演を果たし注目を集めた。

長男の菅原加織と親子共演を果たした東映Vシネマ『ビッグボス BIG BOSS』
長男の菅原加織と親子共演を果たした東映Vシネマ『ビッグボス BIG BOSS』[c]東映ビデオ


晩年は『千と千尋の神隠し』(01)の釜爺役で声優として貫禄たっぷりの演技を披露するなど、いぶし銀的な存在として輝きを放った菅原。石原さとみのデビュー作『わたしのグランパ』(03)では9年ぶりの映画主演を飾り、同作が最後の主演映画となった。そして、声優を務めた細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』(12)が遺作となり、2014年11月28日に81年の生涯に幕を下ろした。

現在CS放送局「東映チャンネル」では、「生誕90年記念 菅原文太主演作特集」が特集放送されている。今回紹介した代表作はもちろんのこと、「人生劇場」を実録風にアレンジした『実録飛車角 狼どもの仁義』(74)や寺山修司がメガホンをとった『ボクサー』(77)など、菅原の歴史を振り返る多彩な10作品がラインナップされている。

この特集放送では菅原の魅力だけでなく、1950年代の映画から、1990年代のVシネマへと年代を追って観ることで、日本映画の変化の歴史をまざまざと感じることができよう。ぜひこの機会にたっぷりと味わってほしい。

文/久保田 和馬

東映チャンネル「生誕90年記念 菅原文太主演作特集」放送スケジュール
■8月
『仁義なき戦い 4Kリマスター版[R15+]』 8月17日(木)20:00~ ほか
『現代やくざ 与太者の掟』 8月18日(金)20:00~ ほか
『関東テキヤ一家』 8月19日(土)20:00~ ほか
『懲役太郎 まむしの兄弟』 8月20日(日)20:00~ ほか
『海女の化物屋敷』 8月27日(日)14:00~

■9月
『トラック野郎 御意見無用』 9月1日(金)13:00~ ほか
『実録・飛車角 狼どもの仁義』9月2日(土)18:00~ ほか
『ビッグボス BIG BOSS』 9月5日(火)13:00~ ほか
『ボクサー』 9月8日(金)22:00~ ほか
『県警対組織暴力 4Kリマスター版』 9月9日(土)22:00~ ほか

詳しくは公式ホームページをご確認ください