グレタ・ガーウィグ監督が明かす、マーゴット・ロビーとの絆「彼女が『バービー』に出会わせてくれた」
世界でもっとも有名なファッションドールであるバービーの物語を実写映画化した『バービー』(公開中)の監督、脚本、製作総指揮を務めたグレタ・ガーウィグ監督。『レディ・バード』(18)でアカデミー監督賞や脚本賞にノミネートされた実力派監督で、ジャパンプレミアでは来日も果たした。ガーウィグ監督が、すでに全世界興収10億ドル突破のメガヒットとなった本作の制作秘話や、主演と製作を兼ねたマーゴット・ロビーとのタッグについて語ってくれた。
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(20)などで知られるロビーの新たな代表作となった映画『バービー』。すべてが完璧で夢のような毎日が続く世界「バービーランド」で人生最高の日々を送っていたバービーたちだが、ある日、完璧とは大きくかけ離れた人間の世界に迷い込んでしまう。スタイリッシュなファッションと明るいキャラクターで、多くの女性を虜にしてきたバービー役をロビーが、ケン役を『ラ・ラ・ランド』(16)のライアン・ゴズリングが演じた。ガーウィグ監督は、歌やダンスを織り交ぜた本作で、観客を夢のようなバービーランドの世界へと誘いつつ、いまを生きる私たちに力強いメッセージも放った。
「バービーと彼女が意味するものに対しては、直感に訴えてくるような鮮明な思い出があった」
――本作にどんな想いで参加されましたか?
「私は脚本、監督として常に楽しいチャレンジを探しています。非常に高い認知度を誇るバービーは60年以上の歴史があり、多くの人から愛されているのでワクワクしていました。また、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』もそうでしたが、バービーも誰もが知っている題材でありつつ、まだ伝えるべき物語があるキャラクターだと感じたのです。バービーの伝説を称えながら、予想外の新しい切り口で彼女の物語を掘り下げ、新鮮で活き活きとした現代に合ったバービーを描けると思いました」
――ガーウィグ監督のバービードールにまつわる思い出とは?
「幼いころ、近所の子たちが飽きて、おさがりのバービーをもらえるのをいつも待っていました。バービーがもらえることは、私にとって楽しみにしていた一大イベントでした。だからバービーと、彼女が発するメッセージについて、直感に訴えてくるような鮮明な思い出がありました」
――実写化されたバービーやケンたちのキャラクター造形は、どんなふうに生まれたのですか?
「マテル社との初めてのミーティングで、複数のバービーたちやケンたちを描くというアイデアが生まれました。私が異なるキャラクターについて話し始めた時、彼らから『異なるキャラクターはいません。女性全員がバービーです』と言われました。そこで『もし女性全員がバービーなら、バービーは女性全員ということですよね?』と尋ねたら、彼らの答えは『イエス』でした」
「マーゴット・ロビーはこのプロジェクトを率いていた張本人」
――マーゴット・ロビーは主演と製作の両方を務めていますね。
「この作品に出会わせてくれたのはマーゴット・ロビーでした。彼女が映画化の権利を確保してワーナー・ブラザースに提案し、このプロジェクトを率いていた張本人です。以前に会ったことがあり、私は女優マーゴット・ロビーの大ファンでしたが、本作について話をして、彼女が製作者としても非常に優秀であることを知りました。マーゴットはとても賢くて、本作の様々な面に関わり、とても興味深い人でした」
――バービー役としてのロビーについての印象も聞かせてください。
「マーゴットが演じるのは典型的なバービーです。映画のなかで彼女は『バービーを考える時に思い浮かべるバービー像、それが私よ』と言います。極上の美しさ、陽気さ、親しみやすさを備えた金髪の女性は誰か、と考えた時、マーゴットしか思いつきませんでした。でも私の一番の目標は、彼女にとんでもなくおもしろい演技をしてもらうことでした。本作のなかで、観客は彼女と共にリアルな旅に繰りだすことになります。物事がバカげているほど大げさで、おもしろおかしくても、マーゴットは共感を呼ぶ現実的な状況を演じ、かつ非常に感情的な表現もできます。だから人間らしさを失うことは決してなかったです」