グレタ・ガーウィグ監督が明かす、マーゴット・ロビーとの絆「彼女が『バービー』に出会わせてくれた」
「バービーランドにニュートンの法則は適用されません」
――ケン役のライアン・ゴズリングについてはいかがでしたか?
「ケン役はライアン・ゴズリングにあて書きしました。彼はドラマチックな役でもすばらしい演技をするけれど、彼が出演した『サタデー・ナイト・ライブ』も観ていたので、彼のおもしろさも知っていました。この役はライアンに演じてもらうと決めていたので、ほかの人は考えていなかったです」
――ピンク色の世界観がとてもファンタスティックでした。
「まず一番大事なことは、バービーランドを私たちが幼いころに思い描いたバービーが住むハッピーな世界として描きたいということでした。サラ・グリーンウッド率いる美術チームとの初期のミーティングでは、様々な色合いのピンクを見て、それらが互いにどう作用するのかを考えていきました。私自身は幼いころからショッキングピンクが好きでしたが、バービーランドでも様々な種類のピンク色が使われます。だから、鮮やかなショッキングピンクと薄めのパステルピンク、そしてその間に存在する様々なピンク色が隣り合わせになった時、どういった見た目になるかを理解することが重要でした」
――重力に逆らうという発想については?
「私たちの世界は、物理学で説明できますが、バービーランドにニュートンの法則は適用されません。太陽はないし、風も吹きませんし、重力も水もありません。だからバービーランドの現実を作り上げるために、バービーランドのルールと映画制作のルールの両方を作り、それらがどう相互作用するのかを考えていきました。
個人的には、スタジオという人工的な空間で撮られた1950年代のミュージカルが大好きです。バービーが初登場したのは1959年だから、そういった映画の見た目を基調に描きつつ、その見た目だけに縛られる必要はないとも感じました。スクリーンに手を伸ばしたら触れられるような感覚を観客に与えたいと思ったのです。触ることができるというのは人形やおもちゃのすばらしいところかと。小さいころ、トイザらスに行き、プラスチックで包装されたバービー人形やアクセサリーを見ると、すべて開封して触りたいと思ったものです」
――サウンドトラックや劇中曲についてのこわだりも聞かせてください。
「本作にはたくさんの曲が使われており、それはとても重要な要素でした。脚本を書いている時、誠実でいつも楽しく『みんなで踊りましょ!』というような姿勢で生きているバービーの楽天的な性格に影響を受けました。マーク(・ロンソン)は、デュア・リパ、リゾ、ニッキー・ミナージュ、カロルGなど本作に曲を提供してくれた大勢のすばらしいアーティストと共に、その感覚をこの映画に吹き込んでくれました。こんなアーティストたちと一緒に働けて、本当に最高でした。マークと彼のパートナーのアンドリュー・ワイアットはケンのテーマ曲も作ってくれて、それをライアンが歌っていることも本当に最高です。聴いた時に思わず涙が流れたバラード曲もあります。劇中曲も作曲してくれたマークとアンドリューは、そのメロディをいくつかのシーンに織り込んでくれました」
文/山崎伸子