映画『月』宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみらのエモーショナルな場面写真
辺見庸の同名小説を原作に、主演に宮沢りえ、共演にはオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみといった布陣で製作された映画『月』が10月13日(金)より公開される。このたび、壮大なドラマを予感させる場面写真が解禁された。
実際の障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸による「月」。事件を起こした個人を裁くのではなく、事件を生みだした社会的背景と人間存在の深部に切り込まなければならないと感じたという著者は、小説という形で「語られたくない事実」の内部に潜ることに挑戦した。この問題作を映画化したのは、コロナ禍を生きる親子を描いた『茜色に焼かれる』(21)、新作『愛にイナズマ』(10月27日公開)など、常に新しい境地へ果敢に挑み続ける映画監督、石井裕也。10代の頃から辺見庸の作品に魅せられてきたという石井は、原作を独自に再構成し、渾身のパワーと生々しい血肉の通った表現で見せる。
今回公開されたのは、主人公を演じる宮沢をはじめ、オダギリ、二階堂、磯村が演じるキャラクターそれぞれに焦点を当てた7点の場面写真。生い茂る森のなかで、空を見上げる洋子(宮沢)を捉えた様子や、憂いを帯びた表情で何かを見つめる昌平(オダギリ)、不穏さを漂わせる陽子(二階堂)、優しき笑顔で入居者に紙芝居を読むさとくん(磯村)など、それぞれの思いが交錯する瞬間を捉えている。
ほかにも、同じ「ヨウコ」という名前の2人(宮沢、二階堂)がお互いの悩みを明かす場面、4人のキャラクターが食事をともにする姿など印象的なシーンが切り取られている。なかでも注目したいのが、夫婦である洋子と昌平が抱き合うシーン。希望と絶望の間でしっかりと抱きしめ合う2人の姿は、壮大なドラマの展開を予感させ、生きることへの希望と、そこにある愛を感じさせる印象的な1枚に仕上がっている。
いよいよ10月に公開を迎える『月』。今後の解禁情報も楽しみに待ちたい。
文/山崎伸子