実はサイコ女子?“ある音”を集めている?『ミンナのウタ』ホラーヒロイン「さな」を深堀り!
大ヒットホラー映画「呪怨」シリーズを手掛け、近年では『犬鳴村』(20)などの「恐怖の村」シリーズを世に送りだした清水崇監督の最新作『ミンナのウタ』(公開中)が絶賛上映中だ。
人気ダンス&ボーカルグループ「GENERATIONS」の白濱亜嵐、片寄涼太、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太、数原龍友が全員本人役で出演する本作。小森がパーソナリティを務めるラジオ番組に1本のカセットテープが届く。番組収録中に「カセットテープ、届きました……?」という少女らしき声を耳にした彼は、突然姿を消してしまう。マネージャーの凛(早見あかり)に依頼され、探偵の権田(マキタスポーツ)が調査を始めるが、次第にGENERATIONSのメンバーが恐怖の連鎖に巻き込まれていく、という現実とフィクションが曖昧になった世界が描かれる。すでに映画を観た人々から、本作のホラーヒロインである“さな”が「ヤバすぎる!」と話題になっているため、今回はそのキャラクターを深掘りして紹介したい。
“さな”こと高谷さな(穂紫朋子)は、呪いのメロディーを奏でる女子中学生の悪霊。彼女には、生きている時から「自分の歌を、みんなに届けて、みんなを私の世界に惹き込む」という純粋な夢があった。しかし、そんな彼女の“他者から認められたい”という承認欲求は怨念へと変わってしまう。生まれつきなのか、彼女は善悪の常識から逸脱したサイコパスな性格の持ち主でもあり、生き物の“最期の音”を集めるという狂気じみた趣味を持っている。その集めた音をベースに口ずさむ彼女の鼻歌を一度聴いた者は呪われ、自分自身も気が付かないうちにメロディーを伝染させていく。
「リング」の貞子や「呪怨」の伽椰子などのこれまでのホラーヒロインは、この世に恨みや後悔を遺して現れる怨霊であったのに対し、“さな”は現代社会ならではの心の闇が反映され、さらに生前からサイコパスな性格を持ち合わせていた中学生という、一線を画すキャラクター。“さな”の正体を知った鑑賞者は、「高谷さなとんでもねぇ悪霊でため息しか出ねぇ。お約束の生前の境遇が悪かった系かと思いきや生前もサイコすぎてどうしようもないやつだった」、「さなちゃん極悪すぎるサイコ女子が怨念化するとあんなことに」など、幽霊の怖さに加えて、人間の持つ狂気的な部分の恐ろしさにも震撼している。また、本作は「清水監督のセルフオマージュ的な所が各所に見られ、ホラー好きとしては楽しかった」という感想も多数出ており、ホラーファンにとって胸熱なシーンも観ることができると話題に。
今回新たに解禁となる2枚の場面写真は、弟の出産を控えてお腹が大きくなった“さな”の母が違和感を感じて布団をめくると、そこには不気味な笑顔を浮かべたさなが…。この、声が出ないほど吃驚するシーンは、清水崇監督の名作『呪怨』(00)を彷彿とさせる。ぜひ大スクリーンで、さなの恐怖を体感して欲しい。
文/サンクレイオ翼