スカーレット・ヨハンソンのハマリ具合が最高レベル!『アステロイド・シティ』など週末観るならこの3本!

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スカーレット・ヨハンソンのハマリ具合が最高レベル!『アステロイド・シティ』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、“らしさ“が遺憾なく発揮されたウェス・アンダーソン最新作、「母と息子」の新たな出発の物語を描いた“母三部作“第3弾、“バカ塗り”こと津軽塗を通して紡がれる父子の絆を描くヒューマンドラマの、様々な形の家族が登場する3本。

独自のスタイルを徹底的に貫く…『アステロイド・シティ』(公開中)

子どもたちは宇宙人の存在を閉鎖された街から発信すべく奮闘する(『アステロイド・シティ』)
子どもたちは宇宙人の存在を閉鎖された街から発信すべく奮闘する(『アステロイド・シティ』) [c]2022 Pop. 87 Productions LLC

独自のスタイルを徹底的に貫く…。世界中の映画監督の中でもウェス・アンダーソンほど、そんな“境地“に達している人は少ないだろう。シンメトリー(左右対称)の構図の多さ。豪華キャストを集めながら、彼らに無表情に近い演技をさせることで、逆に感情を伝えるアプローチ。そして衣装や小道具のアナログ的なこだわりと、鮮やかな配色の美術。そんなウェスの作風に多くのファンがいるわけだが、この新作も“らしさ“は期待どおり全開。一方で“らしさ“が強すぎて賛否も分かれるウェス作品。しかしこの新作は、好奇心をかきたてる設定やストーリーが用意され、意外なほど引き込まれる人も多いのでは?

アメリカの宇宙開発が盛んになる1950年代が舞台なので、レトロ&奇抜なアイテムの数々が作品にすんなり溶け込んでいる印象。ややこしいのは物語が二重構造になっている点で、2つの世界が唐突に行き来したりもするのだが、その構造がクライマックスの穏やかな感動を引き起こす。相変わらずのオールスターキャストの怪演も見どころで、中でもマリリン・モンローを思わせるスター女優で、スカーレット・ヨハンソンのハマリ具合は最高レベルと断言したい!(映画ライター・斉藤博昭)


現代的にアップデートされた人情話…『こんにちは、母さん』(公開中)

吉永小百合と大泉洋が親子に扮する『こんにちは、母さん』
吉永小百合と大泉洋が親子に扮する『こんにちは、母さん』[c]2023「こんにちは、母さん」製作委員会

日本映画界の重鎮、山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎えてつむぐヒューマン・ドラマ。91歳の監督が90本目の作品の題材として選んだのは、母と息子の新たな出発の物語だ。『母べえ』(08)、『母と暮せば』(15)に続く“母三部作“の舞台となるのは、いまも変わらない人情が息づく下町。大会社の人事部長としてリストラを主導する立場に嫌気が指し、家では離婚問題と娘の舞(永野芽郁)の家出に悩む昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母の福江(吉永小百合)が暮らす実家を訪れる。しかしそこにはいままでとは違う生き生きとした母がいて…。

昭夫は割烹着を抜いで洋服を着こみ、どうやら恋もしている福江にビックリ。老いらくの恋に夢中になる母に戸惑う昭夫の狼狽ぶりが笑える。また、好きな人に会えるボランティアにいそいそと出かけ、お酒を飲んで失恋の悲しみを癒し、息子を「おまえ」と呼ぶ、これまで吉永が演じたことのない母親像が新鮮で、一生懸命日々を生きる母親をキュートに体現しているのも見逃せない。さらに、誰もが自由に家に出入りして楽しくおしゃべりしたり、おせっかい焼きだったりという下町の良さを描きつつも、いまどきの都会を象徴するサービスである食事のデリバリーが登場するなど、現代的にアップデートされた人情話が山田作品に新味を与えている。(ライター・足立美由紀)

ささやかな幸せと未来へ続く希望が滲む…『バカ塗りの娘』(公開中)

不器用な父と娘が伝統工芸を通して心を通わせていく『バカ塗りの娘』
不器用な父と娘が伝統工芸を通して心を通わせていく『バカ塗りの娘』[C]2023「バカ塗りの娘」製作委員会

近年とみにご当地映画が増えているが、見応えある作品が多くなって来たのが嬉しい。本作もそんな一作。青森の伝統工芸“津軽塗“について詳しく知れる/見られるとワクワクするのみならず、いまや全国、いや全世界に通じる実情が描き込まれる。そこに、いつの世にも変わらぬ“親子の葛藤と絆“という、泥臭くも普遍的な物語が濃く絡み、ハートのド真ん中を射抜いて味わい深い。

寡黙な職人気質の津軽塗職人の父と、津軽塗に惹かれる引っ込み思案の娘、さらに家業を継ぐことを拒否して我が道を行く兄。3人が“人生をどう生きるか、どう終う(しまう)か“に不安を抱き、互いに感情的になりながらも、寄り添うことを諦めない姿に、ささやかな幸せと未来へ続く希望が滲む。頑固者の父親世代、とりわけ職人世界における認識や意識の進化の描き込み方も、ナチュラルで好感度大。観る前から“そりゃ鉄板”と思わせる父親役の小林薫はもちろん、等身大に真っ直ぐ演じた娘役、堀田真由、軽やかに兄役を演じた坂東龍汰と、新鮮なキャストも魅力的。そしてなにより、伝統と新たな感性や才能の掛け合いの結晶とでもいう、娘が生み出す津軽塗が圧巻!監督は、これまた新世代、『まく子』(19)の鶴岡慧子。(映画ライター・折田千鶴子)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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