山田洋次監督「みんなの力でできた」91歳にして90本目の最新作が完成!大泉洋は「親子にしか見えない」と吉永小百合との親子役に自信|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
山田洋次監督「みんなの力でできた」91歳にして90本目の最新作が完成!大泉洋は「親子にしか見えない」と吉永小百合との親子役に自信

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山田洋次監督「みんなの力でできた」91歳にして90本目の最新作が完成!大泉洋は「親子にしか見えない」と吉永小百合との親子役に自信

山田洋次監督最新作『こんにちは、母さん』(9月1日公開)の完成披露試写会が7月31日に丸の内ピカデリーで開催され、吉永小百合大泉洋永野芽郁宮藤官九郎田中泯、山田監督が登壇。キャスト陣は涼やかな和装や浴衣姿を披露した。

『こんにちは、母さん』完成披露試写会が開催された
『こんにちは、母さん』完成披露試写会が開催された

山田洋次にとって、91歳にして90本目の監督作となる本作。大企業の人事部長として神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、娘の舞(永野)との関係に頭を悩ませる昭夫(大泉)が、久しぶりに母の福江(吉永)が暮らす東京下町の実家を訪れたことからはじまる、“等身大の家族”を描く物語だ。この日は、丸の内ピカデリーの3面大型スクリーンに映しだされる下町の風景をバックに、トークを繰り広げた。

下町に暮らす母・福江を演じた吉永小百合
下町に暮らす母・福江を演じた吉永小百合

吉永は「山田監督の作品『母べえ』『母と暮らせば』では、戦前から戦後で辛い時期を苦しみながら、耐える母親を演じさせていただきました。今回のお母さんはちょっと飛んでいて、明るくてみんなと一緒に生きていくという母親です」と役柄を紹介。大泉は「吉永さんの息子役の私がいて、私から生まれたのが永野芽郁ちゃん。吉永さんから、永野芽郁ちゃんはわかる。一体なにが起きて、これが生まれたのか!映画のなかでは“突然変異”という言葉で処理させていただいています」と吉永との親子役について話し、会場も大爆笑。「改めて吉永さんにお会いすると、どうして俺が生まれたんだと思うんですが、(映画で)昭夫とお母さんの関係を見ると、不思議と親子にしか見えない。安心して観ていただければ」と呼びかけていた。

福江の息子・昭夫を演じた大泉洋
福江の息子・昭夫を演じた大泉洋

吉永は、今回の母親役であらゆる新境地に挑んでいるという。吉永は「大泉さんのことを『お前』と呼ぶ。これは生まれて初めてのこと。最初は戸惑いがありましたが、そのうちに慣れてきた」そうで、「山田監督と向島などを見て歩いて、とてもそこに生きている方が生き生きとしていらっしゃる。それを思いながら撮影をしました」と地元の人の姿を役作りに注ぎ込んだと話す。大泉は「『お前』と言われても、全然違和感はなかった。寅さんの世界に入ったようなセットに入って、吉永さんにお会いすると、母さんにしか思えない」と改めて親子役に充実感をにじませた。

笑顔でトークを繰り広げた
笑顔でトークを繰り広げた

福江が酔っ払うシーンもあり、吉永は「あんなふうに酔っ払ったことはない。ちょっとまごまごしましたが、大泉さんがサポートしてくださった」と感謝しきり。大泉は「なかなか見られない吉永さんが見られる。吉永さんのかわいらしさがあふれている、すばらしいシーン」と切りだし、「吉永さんはとにかくお元気。セリフが多いなかで、長回しで撮る。それがうまくいった時に、飛び上がって喜ぶ吉永さんが、本当にかわいらしくて、本当にすてきだった」と吉永の愛らしさに惚れ惚れとしていた。

また映画のタイトルにかけて、それぞれが最近「こんにちは」したことを明かす場面も。吉永は「こんにちは、赤ちゃん」と微笑み、「大泉さんの前の作品で息子役をやってくださった、某(二宮)和也さんのお嬢ちゃんに、『こんにちは、赤ちゃん』でお会いすることができました。大泉さんのお嬢さんにもぜひまたお会いしたいなと思っています」と回答。山田監督は「年老いた僕自身に会って、びっくりしているという感じ」と自身の年齢に触れて答えた。

お披露目の日は「不安」と告白した山田洋次監督
お披露目の日は「不安」と告白した山田洋次監督

とはいえ現場では、山田監督のエネルギッシュな姿にそれぞれが励まされた様子で、宮藤は「カット割りなど、現場で全部ジャッジする。もう山田洋次は迷わないと思っていたんですが、迷うんですよね。それがすごくうれしかった。こんなに撮っていても現場で考えるんだ、現場でセリフを足すんだと、勇気をもらった」としみじみ。大泉も「監督の映画がおもしろいのは、現場で足す、監督のアイデアがおもしろいんだなということがよくわかりました」と実感を込めていた。

吉永は「監督がこの映画の撮影に入られる前に、『もしかしたら途中でできなくなるかもしれない』というようなことをおっしゃった。それを伺って驚きましたし、辛かった。撮影が始まって、どんどんお元気になった」と証言。映画をお披露目するのは「毎回、判決を聞く被告の気持ち。できることなら無罪であってほしい。何十年も映画を作ってきたけれど、毎回不安」と打ち明けた山田監督は、「たしかにクランクアップの日に『やれやれよかった。途中で倒れたりしないでよかった』と思ったのは事実です。俳優さんの皆さんもそうですし、大勢のスタッフがそういう状態にならないように一生懸命サポートしてくれて、心を込めて作ってくれた。みんなの力でできたんだと思っています」と力強く語り、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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