執念深い“美雪“から絶対に逃げられない…『禁じられた遊び』など、週末観るならこの3本!

コラム

執念深い“美雪“から絶対に逃げられない…『禁じられた遊び』など、週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、些細な願いが蘇らせた執念深いモンスターの恐怖を描く中田秀夫最新作、冴羽リョウの原点に迫る「シティーハンター」最終章、とある船員の目線から描かれるドラキュラの恐怖の、手に汗握る3本。

嫌~な後味が持続し続ける…『禁じられた遊び』(公開中)

【写真を見る】直人と美雪の息子、春翔の純粋無垢な祈りが恐怖をもたらす(『禁じられた遊び』)
【写真を見る】直人と美雪の息子、春翔の純粋無垢な祈りが恐怖をもたらす(『禁じられた遊び』)[c]2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

清水カルマの衝撃の同名デビュー小説を、『リング(1998)』(98)、『事故物件 恐い間取り』(20)などの中田秀夫監督が映画化!“事故死した母親に生き返ってほしい“。そんな子どもの純粋な願いが想像を絶する恐怖を引き起こす本作だが、母親の姿をして土の中から出現する最凶のモンスター“美雪“がとにかく怖い。もともと嫉妬深い彼女は生前から生霊となって襲いかかってくるし、モンスターになってからはその破壊力を増強。貞子などのこれまでのJホラーのアイコンと違って、トカゲのように俊敏に動き、武器を手にどこまでも執念深く追いかけてくる。しかも、腕を斬り落としても再生し、身体をバラバラに粉砕しても肉片を結合させて蘇ってくる彼女からは絶対に逃げられない。

そんな新世代のホラークイーン“美雪“に特殊メイクでなりきった、ファーストサマーウイカの迫力とビジュアルも強烈!重岡大毅が扮した元妻を殺せない直人、橋本環奈が演じた臨戦態勢に転じる映像ディレクターの比呂子との壮絶なバトルからも目が離せないが、なによりも怖いのは、霊能者の大門(長谷川忍)が説く“恐怖“の本質とラストで明かされる驚愕の真相。観終わった後もそれらが脳裏にこびりつき、嫌~な後味が持続し続ける。(映画ライター・イソガイマサト)


ルーツに斬り込む原作屈指の人気ストーリー…『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』(公開中)

原作でも人気を誇るエピソードを映像化した『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』
原作でも人気を誇るエピソードを映像化した『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』[c]北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

1987年にテレビアニメ化されて以来、TM NETWORKの「Get Wild」とともに長年にわたって愛される、全世界累計発行部数5000万部を超える北条司原作の人気アニメ最新作。女好きだが腕利きの始末屋、冴羽リョウが、警察も手を出すことのできない社会の闇と対峙する物語の最終章が開幕。

タイトルの「エンジェルダスト」は、兵士を超人化する一方で精神を蝕む禁断の薬物の名で、原作ファンならピンとくるはず。冴羽を育てた因縁の相手、海原神が登場するなど、冴羽のルーツに斬り込む原作屈指の人気ストーリーが展開される。冴羽リョウ役の神谷明や海坊主役の玄田哲章などお馴染みの声優陣に加え、沢城みゆき、木村昴らがゲスト出演し、さらにあの人気キャラクターもカメオ出演。ちょっとエッチな“もっこりリョウちゃん“、カーチェイスやスピーディーな格闘シーン、そして胸を締め付けるラスト。コメディ×アクション×シリアスのジェットコースター。(ライター・榑林史章)

過去のドラキュラものとはまったく異なっている…『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』(公開中)

 ドラキュラの恐怖を描いたブラム・ストーカーによる小説の第7章を映画化した『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』
ドラキュラの恐怖を描いたブラム・ストーカーによる小説の第7章を映画化した『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』[c] 2023 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

あらゆるヴァンパイア映画の原点というべきブラム・ストーカーの古典小説「吸血鬼ドラキュラ」の新たな映画化。ところが本作は、過去のドラキュラものとはまったく異なっている。1897年、ルーマニア・カルパチア山脈の古城に住むドラキュラ伯爵が、イギリス、ロンドンに渡る“船”の上で巻き起す惨劇を、ドラキュラの素性さえ知らない船員の視点で描いているのだ。

夜な夜な船内に出没する正体不明の怪物に脅える登場人物たちが、ひとりまたひとりと命を奪われていく状況設定は、SFホラーの名作『エイリアン』(79)を彷彿とさせる。長大な原作小説のほんの数ページに過ぎない「デメテル号船長の航海日誌」を翻案し、本格的なゴシック調のサバイバル・ホラーを完成させたのは『ジェーン・ドウの解剖』(17)のアンドレ・ウーヴレダル監督。終盤に奇怪な風貌をあらわにするドラキュラの造形にも注目してほしい。(映画ライター・高橋諭治)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

※冴羽リョウの「リョウ」はけものへんに「尞」が正式表記

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