批評家のジャッジは?実写版「ONE PIECE」を海外メディアはどう評価したか
一方で、好意的なレビューを寄せている批評家たちはどのようなポイントを評価しているのか。興味深いことに、否定的なレビューで指摘された再現度の高さやキャラクターの描き込みなどを好意的に捉えた意見が中心のようだ。
New York Magazineのアンジェリカ・ジェイド・バスティアンは「オリジナルの特性をすばらしいものにしつづける意欲」を高く評価しているようで、これまで実写化は難しいと思われてきた「ONE PIECE」の世界観について「アニメの鮮やかさには及ばなくとも、ユーモアとワイルドさに満ちた方向性を見出し、不可能を可能にした」と賛辞を送っている。
また、USA Todayのブライアン・トゥルートは「ドタバタコメディからスラッシャー要素まで非常に多くのジャンルがミックスされている。過度なアクションに走りすぎることもなく、ストーリーテリングのテンポも良い」とエンタメ性の高さを評価。Empireのデヴィッド・オウピーは「キャラクターの細部にまで注意を注ぎながら、原作の雰囲気に完璧にフィットする雰囲気が作り出されている」と、原作漫画さながらのダイナミックなカメラワークとVFX満載のファイトシーンを讃えている。
自らエグゼクティブ・プロデューサーを兼任した尾田栄一郎は、かねてから今回の実写化のクオリティの高さに強い自信をのぞかせており、7月に行われた「ONE PIECE DAY」のイベントに寄せたレターのなかでは、すでに撮影が終わっていたシーンについて“らしくない”という理由で再撮影を要求したことを明かし、「一切の妥協はありません!」と宣言。
ほかにも、ルフィ役のイニャキ・ゴドイが「『ONE PIECE』の好きなところはたくさんのメッセージだ。夢や友情、それに勇気。笑顔になる!世界中に届けられるように全力を尽くします」と語っているのをはじめ、ゾロ役の新田真剣佑やナミ役のエミリー・ラッドらキャスト陣も、それぞれ原作への愛情と思い入れを持ちながら撮影に臨んでいたことを明かしている。
ついに出航を迎えた実写ドラマ版「ONE PIECE」。先述の「ロッテン・トマト」によれば、一般の視聴者からの好意的な評価の割合は、10000件以上のレビューのなかでも96%という高いスコアを叩きだしており、世界中にいる「ONE PIECE」ファンはすでに大満足で、さらなるシリーズ化を待ち侘びているようだ。
原作漫画やアニメシリーズのファンはもちろんのこと、これまであまり「ONE PIECE」に触れてこなかったという人も、Netflixシリーズをきっかけに新たな伝説の目撃者となってみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬