白岩瑠姫(JO1)&久間田琳加W主演『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は、空気を読んで本音を隠すあなたのための物語|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
白岩瑠姫(JO1)&久間田琳加W主演『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は、空気を読んで本音を隠すあなたのための物語

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白岩瑠姫(JO1)&久間田琳加W主演『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は、空気を読んで本音を隠すあなたのための物語

コロナ禍では、多くの人にとってマスクが身近なものになった。感染対策や衛生管理のために着用するうち、「つけていると表情を隠せる」「顔を直視されず、守られている感じがする」と安心感を覚えるようになった人もいるのではないだろうか。

【写真を見る】自由奔放で、絵を描くことを愛する青磁役を演じ津白岩瑠姫
【写真を見る】自由奔放で、絵を描くことを愛する青磁役を演じ津白岩瑠姫[c]2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

2017年に刊行された「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(汐見夏衛/スターツ出版)はコロナ禍以前の作品だが、マスクを手放せなくなった少女が主人公。「泣ける」「感動した」と若い女性読者を中心にじわじわと人気を拡大し、シリーズ累計発行部数55万部を突破したヒット作だ。9月1日からは、実写映画も公開。JO1の白岩瑠姫久間田琳加をW主演に迎え、『美しい彼』(23)などを手掛けた酒井麻衣監督が色彩豊かな世界を瑞々しく描き出している。

人あたりのいい優等生を演じ、高校でも家庭でもどこか無理をしている、高校2年生の丹羽茜。ある理由から学校ではマスクが手放せず、周りの空気を読んで自分の気持ちと本心を押し殺している。茜ほどではないにせよ、頼まれごとを嫌と言えずに引き受けたり、他人に気を遣いすぎて疲れてしまったりする人は多いだろう。そういう人ほど、彼女の息苦しさに深い共感を抱くはずだ。

学校ではマスクが手放せず、本心を隠して生きる優等生の茜役を演じる久間田琳加
学校ではマスクが手放せず、本心を隠して生きる優等生の茜役を演じる久間田琳加[c]2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

そんな茜に、容赦のない言葉を浴びせるのが同じクラスの青磁。絵を描くことを愛し、中性的で整った顔立ち、白に近い銀髪、自由奔放な言動から、高校でも目立つ存在だ。彼はクラスメートになったばかりの茜に対し、突然「お前のことが大嫌い」と言い放つ。それ以来、茜も青磁に苦手意識を抱くようになるが、その気持ちさえも隠して日々を過ごしている。

言いたいことを言えずに抱え込む茜と、思ったことをズバズバ言う青磁。正反対のふたりだが、文化祭の準備が進まずに追い詰められて心が壊れそうになった時、茜を救ってくれたのは青磁だった。彼のまっすぐな性格、そして彼が描く絵に触れ、いつしか茜のこわばった心もゆっくりとほどけていく。だが、そんな青磁にも人には言えない秘密があって……。

正反対の2人の距離が、少しずつ縮まっていく
正反対の2人の距離が、少しずつ縮まっていく[c]2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会


茜の心情が丁寧かつこまやかに描かれているため、彼女が精神的に追い込まれていくシーンは読んでいるこちらも苦しくなるほど。だからこそ、ダムが決壊するように茜が激情をほとばしらせる場面では、“優等生”の殻を破ろうとする姿にグッとくる。ひとりですべてを背負い込み、うつむきがちで歩いていたところに、空の広さを教えてもらったような晴れやかな心地になる。

文章で描かれていた鮮やかな色彩が、映画ではどのように表現されているかお楽しみに!
文章で描かれていた鮮やかな色彩が、映画ではどのように表現されているかお楽しみに![c]2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

高校生が主役で恋愛要素も多分に含まれているが、この小説は単なる青春ラブストーリーではない。自分の心を大事にすること、自分という人間を誠実に生きること、気持ちをぶつけ合って人間関係を築くこと。そんな大切なことを示してくれるので、ぜひとも世代を問わずにページを開いてほしい。茜のように、他人を気遣うあまり窮屈な思いをしている人ほど、胸に刺さるだろう。

また、作中で青磁が描く空の美しさにも目を向けてもらいたい。文章で描かれていた鮮やかな色彩が、映画ではどのように表現されているのかも見どころ。映画のクライマックスでは息をのむほど美しいシーンが待ち受けているので、両方併せて楽しむと感動が2倍、3倍に膨らむはずだ。

文/野本由起

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