漫画家コンテくんが描き下ろし!『ミュータント・タートルズ』で発見した“男子校の生態”との共通点「既視感がありました」
「違う環境で育った集団が協力し合っている感じはすごくすてき」
タートルズの言動はまさに男子校のノリそのものだと指摘。ジャーナリストを目指す女子高生エイプリルに出会った瞬間のレオナルドの言動は、男子校時代の同級生にそっくりだという。「姉もいるし、吹奏楽部で女子としゃべる機会が多かった僕は、女子から急に話しかけられても全然平気だったけれど、男兄弟で育ち日常で会う女性はお母さんだけという友達は、文化祭に来た女子高生に声をかけるのもしどろもどろ。まさに、レオナルドがエイプリルと初めて言葉を交わした時のようにキョドってました(笑)。
男兄弟4人と父親、男5人で暮らしてきたタートルズだから、初めて女の子と触れ合うってなったら、そりゃあんな風になるのも分かります。ほかのタートルズの反応や、一斉にしゃべりだす感じとかも、ほどよくコミュ障な感じがよく出ていると思いました。僕の学校の話ですが、男子校での会話なんて、基本アホなことか下ネタかしか言ってないから、いざ女の子と話すとなるとネタがないんです。『スタバの新作の話とかすればいいのかな』なんて相談したりして。探り探り話している感じも、男子校時代を思い出しました」と話したコンテくんは、「物語が進み、エイプリルと仲良くなっていく過程にもエモさを感じました」と目を細めた。
友人エイプリルの助けを得つつ、謎の犯罪組織との戦いに繰りだすタートルズ。最終的には周りも巻き込んで協力しながら敵をやっつける姿に、男子校時代の吹奏楽部を思い出したとか。「県大会で1位になるような強豪校に通っていたのですが、年に数回合同バンドといって、いろいろな学校の吹奏楽部が集まり、ビッグバンドをやるというイベントがありました。そこで初めて、女子校や共学に通う女の子に出会う男子もいて。僕たちは部活が強い学校だったから、女子に話しかける時には『大丈夫?』『こんな風に演奏するといいよ』と、ちょっとカッコつけてアドバイスしたりして(笑)。
環境の違う集団が集まって、最後に協力していく感じが重なりました。最初は、それぞれの学校の子が、お互いをミュータントのように感じていたと思います。異世界の人間が触れ合って協力して一つのものを作り上げるってすごくドラマティック。世界を救うタートルズとは全然規模が違うけれど、違う環境で育った集団が協力し合っている感じはすごくすてきだし、僕たちの世界となにも変わらないと感じました」。
父親の目を盗み、遊びに出かけたタートルズたち。父親からなにをしていたのかと問い詰められた際には下手な嘘をつく。そんな姿にも男子校時代の思い出がよぎったそう。「僕の同級生が練習中にこっそりゲームで遊んでいたのがバレて、部屋に部員が集められて怒られたことがあって。PSPでモンハンをやっていたのに『あれはモンスターが出てくる時計です』って一向に認めないんです(笑)。なんでそんなモロバレの嘘をつくのか…。アホだな、素直に謝ればいいのにと思っていたけれど、あれこそが男子校生あるあるだなって。タートルズも3人はなんとか嘘をついたのに、レオナルドはすごく嘘が下手で、結局バラしちゃうみたいな。あの感じも既視感がありました(笑)」と思いだし笑いが止まらない。
厳しい父親は吹奏楽部の顧問の先生のように見えたそうで、「男の子はわんぱくなので、それを抑える方法も考えなきゃいけないと思うんです。だから顧問の先生はすごく厳しかった。でも、たまにふざけてくれるし、認めてもくれたし、導いてくれる。男の子の扱い方がすごく上手だなと思いながら観察していました。タートルズの父親は厳しめで、ちょっと不器用だけど、身を守るためにカンフーを教え、結果的には助けにも来てくれるところには愛を感じたし、部活ではよく怒られていたので顧問の先生の姿と重なりました」と、難しいお年頃の男子校生を教え導く立場の難しさにも触れた。
都内の映像プロダクションに勤めるCMプランナー兼マンガ家。背が低いゆえに日常でいろいろ起きたことをエッセイ漫画にしてSNSで日々更新中。2023年3月にKADOKAWAから中高6年間男子校だった想い出をゆるく描いた『男子校の生態』が書籍化。
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