漫画家コンテくんが描き下ろし!『ミュータント・タートルズ』で発見した“男子校の生態”との共通点「既視感がありました」

インタビュー

漫画家コンテくんが描き下ろし!『ミュータント・タートルズ』で発見した“男子校の生態”との共通点「既視感がありました」

「コンテンツの広げ方の参考にもなるという目線でも楽しむことができた映画」

ティーンエイジャーならではの悩みは、コンテくん自身も「通ってきた道」と話す。「日本でいう中学3年生から高校1年生くらいって、不安定で悩む時期。いま振り返ると笑っちゃうのですが、『あいつめちゃめちゃかっこいい、俺なんて…』みたいなことでも、なんかモヤモヤしていました。卒業後に学校の先生から聞いた話によると、女の子は嫌なことは嫌とハッキリ態度で示す子が多くて割と分かりやすいけれど、男の子は感情を隠すからなにを考えているのか分からないと言っていて。

男の子は嘘が下手。そんな感じもよく出ていたと話していた
男の子は嘘が下手。そんな感じもよく出ていたと話していた[c]2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

僕の漫画にもあるように、男子校生って、普段は基本アホなことしか言ってないし、集まって楽しい環境にいれば『ウェーイ!』ってなるけれど、実は心のなかにはドロドロとしたものがあったり、言葉にはできないモヤモヤがあったりするんじゃないかなって。タートルズも4人でいると楽しいからノリノリに見えるけれど、実は絶妙に難しい年頃なんだろうな、といろいろと想像しながら観ていました」と微笑んだ。

アングルに注目のアクションシーン
アングルに注目のアクションシーン[c]2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

コミックがそのまま動くようなタッチの映像にはCMプランナーという肩書きも持つコンテくんに刺さったようだ。「アニメCMも手掛けているので、まず最初に感じたのは『描くのが大変そう』でした(笑)。ザラついた筆のタッチはすごくすてきだし、冒頭でタートルズが戦うシーンでのアングルの処理は見事だと思いました。4人が共闘して戦うシーンになるかと思いきや、急に横アングルになって4人の活躍それぞれを描き4つのアジトを制圧する。あのシーンの戦い方で4人のキャラクター性がすごく綺麗に見えたし、作画的にもおもしろくって。いつかCMで使ってみたい手法だと思ったくらいです。オープニング、エンディングのアニメの使い方もすごくよくって、こちらも映像資料にしたいですね」。

コンテくんはタートルズのアクションシーンでのアングルに引き込まれたそう。
コンテくんはタートルズのアクションシーンでのアングルに引き込まれたそう。[c]2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.


様々なカルチャーに混ざって日本の漫画も登場する。「『Attack on Titan』(『進撃の巨人』)というタイトルだけで通じることにまず驚きました。日本のカルチャーの強さを感じました。すごく近しいものの価値は、外に出るとより実感するという経験は僕もしています。大学で上京して、広島の牡蠣や広島風お好み焼きの良さを知ったというのかな。これもタートルズと規模は違うけれど(笑)、当たり前すぎて良さがわかっていなかったことに気づきました。そういう意味では、僕の漫画も同じことが言える気がしていて。漫画を描く前は、確かに学校は大好きで楽しかったけれど、僕にとっては当たり前の日常だから、そんなにおもしろいかな…と思っていました。でも、描いて担当に見せたら『これは異常です』って。もちろんいい意味ですけれど」と爆笑する。

「違う環境で育った集団が協力し合っている感じはすごくすてき」とのこと
「違う環境で育った集団が協力し合っている感じはすごくすてき」とのこと[c]2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

「仲畑貴志さんが書いた、映画『戦場のメリークリスマス』の有名なコピー、『異常も、日々続くと、正常になる。』のように、男子校での異常は僕にとっての正常になっていたけれど、その価値をずっと知らなかったということなんですよね。僕の漫画と海外の映画で描かれた日本の有名な漫画では、規模はまったく違う話ですが、共通点はあると思っています。子どものころに出会い、コンテンツに触れない空白の25年を経て久しぶりに再会した『ミュータント・タートルズ』は新しい出会いや発見のためにアンテナを張ることの大切さ、そしてコンテンツの広げ方の参考にもなるという目線でも楽しむことができた映画でした」。

取材・文/タナカシノブ

■コンテくん プロフィール
都内の映像プロダクションに勤めるCMプランナー兼マンガ家。背が低いゆえに日常でいろいろ起きたことをエッセイ漫画にしてSNSで日々更新中。2023年3月にKADOKAWAから中高6年間男子校だった想い出をゆるく描いた『男子校の生態』が書籍化。
Twitter / Instagram / TikTok / note : @conte_kun

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